2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12128202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増田 茂 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (50173745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 優 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (50302823)
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Keywords | 分子凝集体 / 電子分光 / 表面電子状態 / 準安定原子 / 固体表面 |
Research Abstract |
平成14年度の目標は新しく導入した超高真空複合分析装置を用いて、電子状態及び振動状態解析により表面反応を追跡することである。本年度は特にメタンやハロゲン化炭化水素の凝縮体表面に焦点を絞った。 氷表面に吸着させたハロメタンの振動状態についてHREELSによる解析を行った。昨年度の研究でトリクロロメタンは低温では氷表面上に吸着し、昇温することによって一部が氷内部に拡散することを明らかにしたが、それぞれの過程で下地である氷のOH伸縮振動状態が大きく異なることがわかった。現在、電子状態の結果と併せて解析を進めている。 Pt(111)表面に凝縮させたジクロロエタンの電子状態及び振動状態についてメタステーブル原子電子分光とHREELSによる解析をおこなった。1,2-ジクロロエタンはtransとgaucheと呼ばれる異性体が存在する。気相では前者の方が安定であるが,吸着相ではその存在比が大きく異なることが分かった。すなわち、吸着のごく初期ではgauche形が支配的であり、単分子層形成時はtransとgaucheが混在し、第2層以上ではtrans形が安定配座となる。現在、これらの結果を双極子-双極子相互作用の立場から解析を進めている。 メタン凝縮表面にメタステーブル原子を衝突させ、それに伴う化学反応をHREELSを用いて追跡した。He^*(2^3S)の照射により、表面に存在するメタン分子は減少し、何らかの表面反応が誘起されていることが確認された。現在、精力的に実験、解析を進めている。 なお、前年度の課題であった溶媒分子の凝集体表面の結果を論文にまとめた。(11.研究発表を参照)また、ドナー・アクセプター電荷移動薄膜系の蒸着分子であるメタロセンについて論文をまとめた。(11.研究発表を参照)
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[Publications] H.Mutoh, S.Masuda: "Spatial distribution of valence electrons in metallocenes studied by Penning ionization electron spectroscopy"Journal of the Chemical Society. Dalton Transactions. 114-116. 1875-1881 (2002)
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[Publications] M.Aoki et al.: "Interactions of CHCl_3 molecules with a crystalline ice grown on Pt(111) studied by metastable impact electron spectroscopy"Surface Science. (in press). (2003)
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[Publications] 増田 茂: "準安定原子電子分光(新訂版・表面科学の基礎と応用,岩澤康裕編)"エヌ・ティー・エス社(出版予定). (2003)