2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12130203
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森永 正彦 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50126950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中松 博英 京都大学, 化学研究所, 助手 (00150350)
村田 純教 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (10144213)
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Keywords | 軽元素 / 水素 / リチウム / 局在量子構造 / 電子状態 / 材料設計 / 酸化物 |
Research Abstract |
水素やリチウムなどの軽元素は、通常の金属不純物や重元素とは異なり、内殻電子と価電子を明確に区別できない。このため、軽元素は、金属酸化物をはじめとする種々の化合物の中で特異な局在量子構造を持つ。これが、水素吸蔵、プロトン伝導、リチウムのインターカレーションなどの特異な現象を引き起こす原因であると考えられる。本研究では、このような軽元素を含有する局在量子構造を、「量子かご」と新しく呼ぶ。量子効果を正しく取り入れた「量子かご」の新しい学理を確立し、新規機能材料の設計指針を得ることが本研究の目的である。平成13年度に得られた成果は次の通りである。 (1)プロトン伝導性ベロブスカイト型酸化物(BaZrO_3,SrZrO_3,CaZrO_3)において、アクセプタードーバント(M)をZrイオン位置に導入すると、Mとともにプロトン伝導度が大きく変わる。これは、Mのイオン性がZrのそれと違うほど、プロトンの量子かごの性質が変わり、量子かごの中にプロトンがトラップされやすくなり、伝導に寄与する有効プロトン数が減少し、プロトン伝導度が低下するためであると考えられる。 (2)リチウム化合物のクラスター計算やそれとX線吸収スペクトルとの比較によって、リチウムイオンのつくる量子かごの特徴として、励起リチウムイオンの局在性と内殻の反発力の弱さが明らかになった。 (3)高分解能電子顕微鏡に、「局在量子構造分光装置」を取りつけ、量子かごの電子状態を測定できるようにした。そしてCo-MgOなどの複合膜クラスター試料を作製し、遷移金属クラスターの酸化状態を調べた。 (4)水素を吸蔵するバナジウム系合金の量子かごの水素容量を調べ、特定の合金元素の添加が高容量化にとって有効であることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Yukawa and M.Morinaga: "Characteristics of Electronic Structures in Hydrogen Storage Alloys"Advances in Quantum Chemistry. 37. 193-212 (2000)
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[Publications] Y.Liu,T.Fujiwara,H.Yukawa,M.Morinaga 他: "Chemical bonding in lithium intercalation compound LixMn2O4 (x=0,1,2)"Electrochimica Acta. 46. 57-65 (2001)
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[Publications] H.Yukawa,K.Nakatsuka M.Morinaga 他: "Design of Hydrogen Storage Alloys in View of Chemical Bond Between Atoms"Solar Energy Materials & Solar Cells. 62. 75-80 (2000)
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[Publications] 湯川宏,森永正彦: "水素修飾による局在量子構造と合金設計"まてりあ. 39. 571-574 (2000)
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[Publications] Y.Liu,T.Fujiwara,H.Yukawa,M.Morinaga 他: "Lithium intercalation and alloying effects on electronic structures of spinel lithium manganese oxides"Solar Energy Materials & Solar Cells. 62. 81-87 (2000)
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[Publications] M.Yoshino,N.Nakatsuka,M.Morinaga: "Local Electronic Structures around Hydrogen and Acceptor Ions in Perovskite-type Oxide"Solid State Ionics. 127. 109-123 (2000)