2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12135203
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山本 恵彦 筑波大学, 物理工学系, 教授 (60251039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 正洋 筑波大学, 物理工学系, 助教授 (80282333)
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Keywords | 分子線 / 走査トンネル顕微鏡 / トンネル障壁 / 固体表面 / 電子状態 / 触媒反応 / 仕事関数 / 活性化障壁 |
Research Abstract |
本研究は超音速分子線技術を用い、固体表面を原子レベルで修飾することにより表面の物性、特に仕事関数を制御することを目的としている。我々は既に、表面修飾が分子線のエネルギーや対象としている表面の電子状態によって支配されることを明らかにした。また、走査型プローブ顕微鏡を用い、原子レベルで修飾された表面の解析法を確立した。これら既に得られた知見に基づき、実際の電子放出材料を対象として、修飾の効果を明らかにするのが本研究の目的である。本年度はイオン衝撃耐性のある電界放射材料であるHfC薄膜に注目し、ケルビンプローブ計測によるマクロ仕事関数とトンネル障壁計測(走査トンネル顕微鏡技術の応用)によるミクロ仕事関数の比較を行い両者の関係を明らかにし、電界放射材料開発に有用な情報を獲得した。得られた結果については共同作業を行っている京都大学のグループに技術移転を行った。マクロとミクロの知識を統合するために作成した超音速分子線・STM複合装置を用いて、Pt(111)表面における超音速CH4分子線の解離反応を応用した表面修飾を行った結果、CH4分子の並進エネルギーの表面垂直成分を500meV以上にすると極めて配向性の高い単原子層グラファイトが表面全面に形成されることがSTM観察によって明らかになった。これはグラファイト生成によって低下した仕事関数の影響で増加した活性化エネルギー障壁を十分にクリアーする並進エネルギーの分子線を照射した賜物であることが分かった。これは本研究の目的として当初に掲げた超音速分子線による新しい(通常の方法では決して実現できない)表面修飾技術を提供することを証明するものである。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Y.Yamada, M.Sasaki, S.Yamamoto: "Microscopic study on the work function reduction induced by Cs-adsorption"Japanese Journal of Applied Physics. 42. 4882-4886 (2003)
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[Publications] Y.Yamada, A.Sinsarp, M.Sasaki, S.Yamamoto: "Local tunneling barrier height measurement on Au(111)"Japanese Journal of Applied Physics. 42. 4898-4900 (2003)
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[Publications] 近藤剛弘, 佐々木崇, 山本恵彦: "超音速分子線技術を用いたCH4分子とPt(111)-(2x2)-O表面との相互作用に関する研究"表面科学. 24. 491-499 (2003)
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[Publications] T.Kondo, D.Mori, R.Okada, S.Yamamoto: "Molecular beam study of H_2O interaction with Pt(111)"Japanese Journal of Applied Physics. 43. 1104-1109 (2004)