2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12136205
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
福田 恵一 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20199227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 淳 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10306706)
田原 聡子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80296566)
富田 雄一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00296568)
板橋 裕史 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00317108)
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Keywords | 再生医療 / 心筋細胞 / 幹細胞 / 骨髄 / 発生・分化 |
Research Abstract |
われわれはこれまでin vitroにおいて骨髄間葉系幹細胞が心筋細胞に分化できることに報告してきたが、生体内で間葉系幹細胞が心筋細胞に分化するか否かは明らかではない。生体内で親近本研究では心筋梗塞部位に骨髄幹細胞が誘導され心筋再生が行われるか否か、さらにサイトカインを用いることにより骨髄幹細胞による心筋組織再生が促進されるか否かを解析した。【方法】GFPトランスジェニックマウスの骨髄細胞を採取し、致死量放射線照射後の同系マウス(C57BL/6)に骨髄移植した。2月後マウスの末梢血を採取し、血球系細胞をFACS解析した。また、骨髄血のサイトスピン標本を作成した。血球系細胞のキメラ率が90%を超えるマウスに関して、麻酔開胸し左冠動脈結紮により心筋梗塞を作成した。梗塞作成の翌日より10日間G-CSF、GM-CSFを投与した。生存率を観察するとともに、2ヶ月後心エコーにて心機能を評価後に心臓を摘出した。レーザー顕微鏡により抗心筋アクチニン抗体、抗平滑筋アクチン(SMA)抗体、抗von Willebrand Factor(vWF)抗体とDAPI(核染色)の共染色により心筋組織再生について解析した。【結果】梗塞後2ヶ月の時点での生存率は生食投与群では約60%、G-CSF投与群で約90%であり、著明な生存率の改善を認められた。一方、GM-CSF投与群では生食投与群に比し急性期の死亡率の増加が観察された。GM-CSFを投与した群では急性期において梗塞巣に多数のCD45陽性、MAC1陽性のマクロファージの浸潤を認めたが、G-CSF投与群ではCD45陽性細胞は認めるもののMAC1陽性の細胞は有為に低かった。梗塞後2か月の段階の心エコーによる解析ではG-CSF投与群では生食投与群に比べて左室駆出率(EF)の上昇、左室拡張末期径(LVEDD)の短縮が観察され、心機能の改善を認められた。一方、GM-CSF投与群ではEFの低下、LVEDDの拡大を認め、心機能の増悪が観察された。梗塞後2ヶ月の時点での組織では梗塞部位に一致してGFP陽性細胞が多数観察され、その一部は心筋、血管内皮、平滑筋細胞の抗体と共染色され、骨髄幹細胞により組織再生がなされていること、G-CSF投与によりこのGFP陽性細胞が著しく増強することが観察された。GFP陽性細胞中の心筋細胞の占める割合は10%程度であり、残りの細胞の多くは抗アクチニン抗体、抗SNA抗体、抗vWF抗体の染色が陰性であり、線維芽細胞様の細胞であると推測された。【結語】骨髄多能性幹細胞は心筋梗塞時に梗塞巣に移動し、血管内皮・平滑筋・心筋等の組織再生に寄与した。適切なサイトカインの投与は骨髄多能性幹細胞による組織再生能力を向上させ、心機能を改善した。生体内で成体幹細胞を流血中に誘導し、組織分化することができれば、患者本人の幹細胞で組織再生し得る方法を開発することができることになり、心筋症その他の心筋全体が障害される疾患の治療にも結びつくものと考えられる。
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[Publications] H Kodama, K Fukuda, et al.: "Role of EGF receptor and Pyk2 in endothelin-1-induced ERK activation in rat cardiomyocytes"J.Mol.Cell.Cardiol.. 34. 139-150 (2002)
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[Publications] Keiichi Fukuda: "Molecular characterization of regenerated cardiomyocytes derived from adult mesenchymal stem cells"Congenital anomalies. 42. 1-9 (2002)
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[Publications] D Hakuno, K Fukuda, et al.: "Bone marrow-derived cardiomyocytes expressed functionally active adrenergic and muscarinic receptors"Circulation. 105. 380-386 (2002)
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[Publications] Keiichi Fukuda: "Use of adult mesenchymal stem cells for regeneration of cardiomyocyte and its application to cell transplantation therapy"J Bone Marrow Transplant. (in press). (2002)
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[Publications] Keiichi Fukuda: "Reprogramming of bone marrow mesenchymal stem cells into cardiomyocytes"Competes Rendus Biologies. 325. 1-12 (2002)
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[Publications] H Kodama, K Fukuda, et al.: "Selective involvement of p130Cas/Crk/Pyk2/c-Src in endothelin-1-induced JNK activation"Hypertention. (in press). (2002)
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[Publications] Keiichi Fukuda: "Cardiovascular genomics : New pathophysiological"Kluwer Academic Publishers. (2002)