2000 Fiscal Year Annual Research Report
内皮前駆細胞移植を応用した虚血心筋の血管新生療法の開発
Project/Area Number |
12136208
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (B)
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
室原 豊明 久留米大学, 循環器病研究所, 講師 (90299503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 裕之 久留米大学, 医学部, 助手 (60279164)
加藤 宏司 久留米大学, 医学部, 助手 (70279165)
上野 高史 久留米大学, 医学部, 講師 (90184952)
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Keywords | 内皮前駆細胞 / 虚血性心疾患 / 血管再生 / 慢性閉塞性動脈硬化症 / 血管形成 / 血管新生 / 血管内皮細胞 / 側副血管 |
Research Abstract |
研究の第一段階として我々は、ヒト由来の内皮前駆細胞移植により、虚血組織の血管新生が誘導され、その結果組織の血液流量が増えて、虚血組織救済が可能か否かについて実験的検討を行った。細胞源としては、ヒト臍帯血を使用した。臍帯血は以前から、血球系幹細胞の豊富な試料として知られており、すでに臨床(臍帯血移植)にも応用されている。臍帯血の単核球培養により、実際に内皮前駆細胞が得られることが明らかにされた。さらに、この細胞を培養容器から剥離分離し、免疫抑制動物の虚血下肢に直接移植したところ、有意な血管新生増強作用とともに、血流の著明な回復が認められた。 次に自己幹細胞を使った治療が臨床に向け必須と考えたため、我々はウサギ下肢虚血モデルを用い、虚血組織に自己骨髄細胞の幹細胞分画を移植すると血管新生が起きるか否かを検討した。ウサギの片側下肢虚血モデルを作成し、1週間後に自己骨髄由来単核球を移植することにより、虚血下肢の血管新生が増強されるか否かを検討した。血管造影、レーザードップラー、虚血組織切片における毛細血管密度のパラメーターにおいて、骨髄移植群がコントロール群(生理食塩水注入群)と比較して有意に側副血行や血管新生の改善がみられた。よって、移植された自己骨髄単核球は虚血組織において、少なくともそれら細胞自身が血管形成に参加するか、もしくはparacrine的に血管新生促進因子を放出し、局所の血管新生を刺激するものと考えられた。 今後虚血性心疾患治療に向けた検討が必要であるが、我々は下肢虚血モデルで、十分な安全性と長期効果が得られた場合に、心疾患への実験的検討を試みる。具体的には、アメロイドコンストリクターを用いたブタ心筋梗塞モデルを作成し、自己骨髄単核球(幹細胞分画)移植により、虚血部血管新生と血流の改善が見られるか否かを検討する予定である。なおブタ骨髄中に、内皮前駆細胞様細胞が含まれ、それらの細胞が血管新生作用に寄与していることはすでに実験的に確認している。
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