2001 Fiscal Year Annual Research Report
骨系統疾患における軟骨骨化制御に関する研究-軟骨無形成症の病態解明・治療開発
Project/Area Number |
12137206
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
清野 佳紀 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80028620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 良孝 岡山大学, 医学部・附属病院, 医員
井上 勝 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (20253023)
田中 弘之 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80231413)
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Keywords | sprouty2 / PTHrP / CFK2 / ATDC-5 / Stat-1 |
Research Abstract |
株化軟骨細胞であるATDC-5,CFK2の2系統の細胞に変異FGFR3遺伝子をアデノウィルスベクターを用い安定に高力価で発現させ、細胞増殖分化に及ぼす影響を観察し構成的に活性化されたFGFR3の下流に存在する細胞内外の情報伝達について検討を加え、病態を解明し新たな病態に基づく治療薬の開発を試みた。 各種のin vitroの実験結果より(1)活性化されたFGFR3の下流にはPTHrP遺伝子発現の抑制(2)stat-1の活性化が存在すること(3)CNPによるcGMPはFGFR3とは独立して細胞増殖に働くことが明らかとなった。この事から、新規の治療法としてPTH、PTHrPは有力であることが考えられたので、次に胎児骨器官培養(ウイルスによる変異遺伝子導入)によってその効果の検討を行っている。少なくとも現状では胎児器官培養系でも軟骨の伸長は変異FGFR3の導入によって明らかに抑制されることが示されており、本系を用いてPTH、PTHrPの効果を検討する。 また、stat-1の下流の情報についても検討を加えた。下流にはMAPKの活性化の抑制過程が存在することは既に明らかであるが、本年度はstat-1とMAPKの間に介在する因子、即ちsprouty2について検討した。Stat-1の活性化に伴いsprouty2の発現は促進され、MAPKの活性化、細胞増殖を抑制した。この効果はsprouty2の過剰発現によっても再現され、ドミナントネガティプなsprouty2によって、抑制が解除され細胞増殖の回復を認めた。以上のことからsprouty2も新たな治療ターゲットとなりうる分子であると考えられた。 一方、in vivoでの検討のために変異FGFR3トランスジェニックマウスの入手が可能となり、実験系構築に必要な数への繁殖作業も開始した。
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