2004 Fiscal Year Annual Research Report
骨・骨髄損傷後の血管新生から組織再生までの遺伝子発現と制御
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12137210
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
中村 利孝 産業医科大学, 医学部, 教授 (50082235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 昭典 産業医科大学, 医学部, 助教授 (90248576)
成澤 研一郎 産業医科大学, 医学部, 講師 (20269062)
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Keywords | 骨・骨髄損傷 / 海綿骨 / 皮質骨 / ビスフォスフォネート / cbfa-1 / osterix / osteocalcin / RANKL |
Research Abstract |
我々は、骨・骨髄損傷後の組織修復過程において、骨形成と血管形成因子との関連を明らかにする目的で研究を行ってきた。今年度は、ビスフォスフォネート(BP)投与により骨代謝回転が低下した(骨芽細胞分化能が低下した)状態で、骨・骨髄損傷を生じた場合、その修復過程が遅延するか否か、その機序について明らかにする目的で実験を行った。 7週齢の雄性C57BL/6Nマウスを、1週間の予備飼育後、8週齢からBP (YM529の0.1mg/kgを毎週1回静注)を投与開始した。10週齢で大腿骨骨幹部の骨・骨髄にドリルで穴を開けた。修復部組織の組織形態計測およびrealtime PCRで遺伝子発現を調べた。 骨・骨髄損傷後14日までの骨髄修復期においては、骨髄内仮骨の形成は、BP投与による影響を受けなかったが、14日以降の皮質骨の再構築期においては、BP投与群では層板骨(lamellar bone)構造が多成されず、修復が遅延した。損傷前は、BP投与により、ALP陽性CFU-fの形成は低下し、骨芽細胞分化は抑制されていた。しかし、損傷後3日、cbfa-1、osterixの発現は、BP投与群と非投与群に差がなくなった。しかし、osteocalcinの発現は低下しており、RANKLの発現は亢進していた。BPにより低下していた骨芽細胞分化能は、損傷後は非投与群と同じように急激に促進されたが、骨芽細胞の最終分化段階は依然抑制された状態であった。 マウス骨・骨髄損傷後の修復過程において、ビスフォスフォネート投与は、1)骨髄内仮骨の形成に影響を与えないこと、2)骨髄内仮骨の吸収を遅延させること、3)皮質骨の再構築(層板骨構造形成)を遅延させること、を明らかにした。
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