2001 Fiscal Year Annual Research Report
種子貯蔵タンパク質遺伝子の制御情報統合化メカニズムの解析
Project/Area Number |
12138204
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
服部 束穂 三重大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (10164865)
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Keywords | シロイヌナズナ / アブシジン酸 / TRAB1 / イネ / ABI3 / FUS3 / 種子成熟 / クロマチン |
Research Abstract |
1.ABI3、FUS3の作用機作の解析 ABI3は種子特異的転写因子であるが、35Sプロモーターを用いて植物体で異所発現させると、貯蔵タンパク質遺伝子mRNAが植物体においてABA誘導を受けるようになることから、ABI3が種子貯蔵タンパク質遺伝子の器官特異性の決定要因の一つであると考えられる。今回、FUS3を異所発現するABI3のC末端側B3ドメイン(DNA結合ドメイン)あるいは、N末端側ドメイン(転写活性化ドメインと考えられ、ABI5/TRAB1との相互作用に必要とされる領域を含む)トランスジェニックを作製し、貯蔵タンパク質遺伝子CRCおよびAt2S、LEA遺伝子AtEm1およびAtEm6あるいはRab18の発現を解析した結果、遺伝子によって異なるドメイン要求性を示す事が明らかとなった。 2.TRAB1を介したABA応答性転写制御メカニズムの解析 イネ培養細胞0cを用いてラベリング実験をおこなうと、TRAB1のSer残基がABA処理後15分以内にリン酸化されることを昨年度報告した。今年度は、このABAに応答してリン酸化されるセリン残基を特定することを試みた。HA-HisエピトープタグをつけたTRAB1-HA-Hisを発現するトランスジェニックカルスを作製し、抗HA抗体でウェスタン解析を行ったところ、ABAに依存した移動シフトを示した。アルカリフォスファターゼ処理実験により、この移動度シフトはリン酸化によること、およびABA依存的リン酸化に加えてTRAB1は、別の部位で構成的にもリン酸化されていることが分かった。また、TRAB1-HA-HisのABA依存性移動度シフトはプロトプラストを用いた一過的発現でも確認できた。さらに、TRAB1にSer44→Alaの変異を導入するとこの移動度シフトがみられなくなることから、Ser44がABA依存的にリン酸化されると考えられた。一方、GBD(GAL4 DNA-binding domain)::TRAB1融合タンパク質は、GAL4結合部位をもつレポーター遺伝子にABA応答性を付与することができるが、Ser44→Ala変異によりGBD::TRAB1のABA応答性付与能が失われた。このことからABAシグナルは、最終的にTRAB1のリン酸化という形で転写系に伝えられる可能性が考えられた。
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[Publications] Kondo, K., Yamamoto, M., Matton, D.P., Sato, T., Norioka, S., Hattori, T., Kowyama Y.: "Cultivated tomato has defects in both S-RNase and HT genes required for stylar function of self-incompatibility"Plant.J. (印刷中). (2002)
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[Publications] Hattori, T., Totsuka, M., Hobo, T., Kagaya, Y., Toyoda-Yamamoto, A: "Experimentally deremined sequence requirment of ACGT-containing abscisic acid response element"Plant Cell Physiol.. 43(1). 136-140 (2002)
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[Publications] Miyoshi, K., Kagaya, Y., Ogawa, Y., Nagato, Y., Hattori, T: "Temporal and spatial expression pattern of the OSVP1 and OSEM genes during seed development in rice"Plant Cell Physiol.. (印刷中). (2002)