2001 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカインによるマスト細胞の機能修飾とその制御についての研究
Project/Area Number |
12139202
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (B)
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平澤 典保 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (80181155)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内 和雄 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (20006357)
|
Keywords | JAK3 / PI3-kinase / Btk / Vav / ヒスタミン / 血管内皮増殖因子 |
Research Abstract |
初年度において、IgE産生に関与し、アレルギー反応の増悪化に関与していると考えられるIL-4により活性化されるJAK3が、抗原刺激により誘発されるマスト細胞の活性化反応にも関与していることを明らかにしたので、その分子機序をラットマスト細胞株RBL-2H3細胞を用いて解析した。JAK3阻害薬WHI-P154は抗原刺激によるtyrosine kinase Sykのリン酸化及び活性化を抑制せずにtyrosine kinase Btkのチロシンリン酸化を抑制したこと、phosphatidylinositol 3-kinase(PI3-kinase)の下流にあるセリン・スレオニンキナーゼAktのリン酸化を抑制したことから、JAK3はSykの下流にありPI3-kinase及びBtkの活性化を制御していることが示唆された。また、WHI-P154が抗原刺激によるp38 MAP kinase及びc-Jun N-terminal kinaseの活性化を抑制するが、thapsigarginによるこれらのMAP kinasesの活性化は抑制しなかった機序として、Vavの活性化機構の相違であることを示唆する結果が得られた。すなわち抗原刺激によってのみVavはチロシンリン酸化されるが、このリン酸化がWHI-P154により抑制されることを見いだした。以上のようにマスト細胞の活性化シグナル伝達機構におけるJAK3の役割を明らかにした。 また初年度にヒスタミンは血管新生及び肉芽増殖に関与していることが明らかにしていたが、今年度はさらにその分子機序について解析した。その結果、ヒスタミンは炎症の慢性期において持続的に産生されること、血管内皮増殖因子の産生を誘導することを見いだし、ヒスタミン産生能の変化が炎症の慢性化に関与していることを示唆した。
|
-
[Publications] Ghosh, A.K., Hirasawa, N., Ohuchi, K.: "Enhancement by histamine of vascular endothelial growth factor production in granulation tissue via H2 receptors"Br. J. Pharmacol.. 134. 1419-1428 (2001)