2000 Fiscal Year Annual Research Report
マスト細胞の分化におけるヒスタミン合成酵素とプロスタノイド受容体の発現調節
Project/Area Number |
12139205
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
市川 厚 京都大学, 薬学研究科, 教授 (10025695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 智之 京都大学, 薬学研究科, 助手 (40303846)
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Keywords | マスト細胞(肥満細胞) / ヒスタミン / プロスタグランジン / アナフイラキシー / 骨髄培養 / イムノグロブリンE / ヒスチジン脱炭酸酵素 |
Research Abstract |
本研究は、炎症、アレルギーに関与する細胞の機能に対する個体レベルにおけるヒスタミンあるいはプロスタグランジン(PG)のはたらきを解明し、もって新規抗アレルギー薬創製の基礎的知見を得ることを目的としている。本年度の研究実施計画に基づき、以下の知見を得た。 1)ヒスチジン脱炭酸酵素(HDC)の活性発現調節とマスト細胞分化の研究 マウス骨髄培養マスト細胞培養系(BMMC)を昭和大・村上グループとの共同研究により確立した。この系により得られるHDC分子種は前駆体のみであり、未成熟なマスト細胞においては翻訳後プロセシングが起こっていないことが明らかとなった。また、マウスマスト細胞株、P-815において酪酸が翻訳後プロセシングを促進することを見いだした。また、HDC欠損マウスにおいてはIgE依存性の受身アナフィラキシー反応は観察されなかった。HDC欠損マウス由来BMMCの表現型は染色性において野生型とほとんど相違が見られないが、アラキドン酸代謝物の産生、脱顆粒の程度において亢進していることが観察された。これらはマルチラベルカウンタを用いて測定した。 2)IgE刺激によるヒスタミン合成の誘導 BMMCの系において、IgE添加により抗原非存在下においてもヒスタミン合成が顕著に誘導されることを見いだした。これは転写レベルで起こり、protein kinase Cの阻害剤によって抑制された。チロシンキナーゼ、Lynの活性化が見られないことから、これには新規のシグナル伝達経路が関与することが予想された。ChemiDocはイムノブロット解析の際に用いた。 3)プロスタグランジン受容体DP、EP3サブタイプ欠損マウスにおける喘息モデルの解析 オボアルブミン感作による喘息モデルにおいて、DP欠損マウスでは反応性の低下、EP3欠損マウスでは亢進が認められ、喘息におけるプロスタノイドの機能としてPGD_2は促進的に、PGE_2は抑制的にはたらく可能性が示唆された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Ikegami,R., et al.: "The expression of prostaglandin E receptors EP2 and EP4 and their different regulation by LPS in C3H/HeN peritoneal macrophages."J.Immunol.. (in press). (2001)
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[Publications] Takahashi,K., et al.: "Effect of cimetidine on intratumoral cytokine expression in an experimental tumor."Biochem.Biophys.Res.Commun.. (in press). (2001)
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[Publications] Yamane,H., et al.: "Prostaglandin E2 receptor, EP2 and EP4, differentially modulate TNF-α and IL-6 production induced by lipopolysaccharide in mouse peritoneal neutrophils."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 278. 224-228 (2000)
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[Publications] Matsuoka,T., et al.: "Prostaglandin D2 as a mediator of allergic asthma."Science. 287. 2013-2017 (2000)
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[Publications] Sugimoto,Y., et al.: "Distribution and function of prostanoid receptors : studies from knockout mice."Jpn.J.Pharmacol.. 83. 279-285 (2000)
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[Publications] Tsuboi,K., et al.: "Uterine expression of prostaglandin H_2 synthase in late pregnancy and during parturition in prostaglandin F receptor-deficient mice."Endocrinology. 141. 315-324 (2000)
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[Publications] 田中智之 ほか: "ヒスタミン研究の最近の進歩(編集・渡邉 建彦)"医歯薬出版株式会社. 114 (2000)