2004 Fiscal Year Annual Research Report
セラミド・シグナル調節による細胞死誘導機構の解明とその臨床的意義
Project/Area Number |
12140203
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
岡崎 俊朗 鳥取大学, 医学部, 教授 (40233308)
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Keywords | SM合成酵素 / SM合成遺伝子 / PI-3キナーゼ / ATMキナーゼ / セラミド / セラミド結合蛋白 |
Research Abstract |
抗ガン剤に耐性となった様な細胞に細胞死を誘導することが出来るかについて、細胞レこれまでに我々の研究で明らかにされたように、抗ガン剤耐性白血病細胞ではグルコシルセラミド合成酵素(GCS)が転写レベルで活性化され、抗ガン剤によるセラミドの産生が抑制される。すなわち、抗ガン剤耐性細胞はアポトーシス誘導脂質セラミドの細胞内量を減少することで、細胞死から免れる機構を獲得することが判明した。さらに我々は、セラミド量の制御機構として、GCS以外のセラミド代謝酵素であるスフィンゴミエリン合成酵素(SMS)の細胞死ならびに増殖における意義について検討した。その結果、 (1)白血病患者から得た腫瘍細胞検体でGCSのみならずSMSの活性が、抗ガン剤耐性細胞において増強し、その結果セラミドの細胞内量が減少していることが明らかとなった。 (2)SMSの分子レベルでの解析を行うために、SM合成を欠損した細胞で発現クローニング法を用い、このSMS遺伝子を単離した。新規遺伝子クローニングーとして、SMS1と名付け、そのホモログをSMS2とrとした。 (3)SMS1の過剰発現細胞(SM(+))とSMS1の欠損細胞(SM(-))に、GCS阻害剤であるPBPPを処理したところ、濃度依存的に細胞増殖が抑制され、細胞死を誘導した。 以上のことより、セラミド代謝酵素であるSMSとGCSの活性を同時に阻害し、細胞内セラミド量を増加することで細胞死が誘導されることが明らかとなった。今後、SMSの阻害剤を開発し、同時にGCSとSMSを抑制する分子標的療法により細胞死誘導シグナル・セラミドを増強し、ベルのみならず動物レベルでも検討し、実際の臨床応用開発へと進めて行きたい。
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