2001 Fiscal Year Annual Research Report
中性/アルカリ性セラミダーゼによるスフィンゴ脂質シグナリングの制御
Project/Area Number |
12140204
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊東 信 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (40253512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 峯介 三菱化学, 生命科学研究所, 主任研究員
沖野 望 九州大学, 大学院・農学研究院・日本学術振興会, 特別研究院
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Keywords | セラミダーゼ / シグナル伝達 / スフィンゴ脂質 / スフィンゴミエリン / ラフト / クローニング |
Research Abstract |
セラミド、スフィンゴシン、スフィンゴシン-1-リン酸等のスフィンゴ脂質は、細胞の生死や増殖・分化を制御する機能性脂質として注目を集めている。スフィンゴ脂質の代謝・細胞内移行およびシグナリングの機構を解明するためには、スフィンゴ脂質の高感度標識法および代謝酵素の微量定量法の開発が不可欠である。本年度は、担当者らが発見したSCDaseを用いてセラミドやスフィンゴミエリン等の蛍光標識法、放射性同位体標識法を開発し、スフィンゴ脂質代謝酵素の微量定量法を確立する。さらに、本法を用いてアトピー性皮膚炎への関与が指摘されている細菌セラミダーゼおよびほ乳動物スフィンゴ脂質シグナリングシステムにおいてmissing linkと考えられている中性/アルカリ性セラミダーゼの精製と遺伝子クローニングを行うことを目的とした。 スフインゴ脂質セラミドN-デアシラーゼ(SCDase)の縮合反応を利用して蛍光標識および放射性標識スフィンゴ脂質の酵素合成法を開発した。本法で調製したC12-NBD-セラミドは、市販のC6-NBD-セラミドや放射性セラミドと比較して中性/アルカリ性セラミダーゼに対するKmが低くVmaxが著しく大きいことを示し、この蛍光基質を用いた中性/アルカリ性セラミダーゼの高感度アッセイ法を確立した。 本法を用いて、アトピー性皮膚炎に関与すると考えられる緑膿菌セラミダーゼ(分子量70k)の精製を行った。さらに、精製酵素の部分アミノ酸配列を用いて緑膿菌セラミダーゼ遺伝子のクローニングを行った。また、本遺伝子のホモログとして結核菌セラミダーゼ遺伝子をクローン化した。両者はアミノ酸レベルで約40%の相同性を示し、大腸菌で発現させた両酵素の至適pHは8.5であった。興味深いことに、緑膿菌セラミダーゼは5'末端領域にシグナル配列を有したが、結核菌セラミダーゼはシグナル配列を持たなかった。このことは緑膿菌セラミダーゼが菌体外に分泌され皮膚に存在するセラミドの分解に関与するが、結核菌セラミダーゼは細胞内に取り込まれたスフインゴ脂質の代謝に携わっていることを示唆している。一方、マウス肝臓とラット腎臓に存在する分子量94kと112kの中性セラミダーゼを完全精製し、それぞれのcDNAをクローン化した。今回、クローン化された一連の中性/アルカリ性セラミダーゼは、ヒト及びマウスから既にクローン化されている酸性セラミダーゼとは全く相同生が認められなかったが、中性/アルカリ性セラミダーゼ間では細菌からほ乳動物に至るまで強い相同性が見いだされた。つまり、中性/アルカリ性セラミダーゼの遺伝情報は原核生物からほ乳動物まで保存されており、1つの新しい遺伝子ファミリーを形成していることを見出した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Mitsutake, S. et al.: "Purification, characterization, molecular cloning, and subcellular distribution of neutral ceramidase of rat kidney"Journal of Biological Chemistry. 267(28). 26249-26259 (2001)
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[Publications] Kita, K. et al.: "Characterization of the reversible nature of the reaction catalysed by sphingolipid ceramide N-deacylase"European Journal of Biochemistry. 268. 592-602 (2001)
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[Publications] Romiti, E.: "Localization of neutral ceramidase in caveolin-enriched light membranes of murine endothelial cells"FEBS Letter. 506. 163-168 (2001)
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[Publications] Sueyoshi, N.: "Apoptosis of Neuro2a cells induced by lysosphingolipids with naturally occurring stereochemical configurations"Journal of Lipid Research. 42. 1197-1202 (2001)
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[Publications] Sueyoshi, N.: "Molecular cloning and expression of Mn2+-dependent sphingomyelinase/hemolysin of an aquatic Pseudomonas sp"Journal of Bacteriology. 184. 540-546 (2001)
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[Publications] Suzuki, H.: "Inhibitory activity of sulphoglycolipid derivatives towards pancreatic trypsin"Glycoconjugate Journal. 17. 787-793 (2001)