2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12141203
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
釣本 敏樹 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (30163885)
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Keywords | DNAポリメラーゼ / クランプ / クランプローダー / チェックポイント / 染色体接着 |
Research Abstract |
1.WRNヘリカーゼ結合因子(WRNIP1)によるDNAポリメラーゼδの機能制御 ヒトWRNIP1は複製時の染色体構造維持に関与するWRNヘリカーゼに結合するだけでなく、複製因子RFCとも構造上の類似性を持つ。ヒトWRNIP1の発現系を構築し、精製した結果、8量体に相当する複合体として振る舞い、DNAにより促進されるATPase活性を持つ。さらにヒトDNAポリメラーゼδと特異的に相互作用し、このDNA合成活性を促進することを見いだした。このDNA合成産物の解析から、WRNIP1は、DNAポリメラーゼδのprocessivityを増加させるとともに合成開始効率を上昇させることが示された。このことは、DNAポリメラーゼδが複製反応を進行させる際に、WRNIP1が複製フォークに加わって複製フォークの進行の制御を行っていることを示唆している。 2.染色体接着に関与するクランプローダー分子の再構築と機能解析 複製時の染色体接着、チェックポイント応答に関与するChl12をRFCの小サブユニットと共に昆虫細胞で発現するとChl12-RFC複合体が再構築される。この複合体はRFC同様のクランプローダー型複合体になることを明らかにした。さらに、この新規クランプローダーが複製因子PCNAを標的クランプとすることを見いだした。Chl12-RFCによってDNAにロードされたPCNAはDNAポリメラーゼδのDNA合成促進活性があり、複製反応過程のPCNAと同じ機能を持つ。しかし細胞の粗抽出液を使った反応系ではChl12-RFCによるPCNAローディングが見られないことから、細胞内では複製反応と染色体接着反応の間でPCNAローダーを使い分ける機構があることが考えられる。
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[Publications] Tatsumi, Y.et al.: "The ORC1 cycle in human cells : I. Cell cycle-regulated oscillation of human ORC1."J.Biol.Chem.. 278. 41528-41534 (2003)
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[Publications] Ohta, S.et al.: "The ORC1 cycle in human cells : II. Dynamic changes in the human ORC complex during the cell cycle."J.Biol.Chem.. 278. 41535-41540 (2003)
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[Publications] Shiomi, Y.et al.: "The reconstituted human Chl12-RFC complex functions as a second PCNA loader"Genes Cells. 9(In press). (2004)
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[Publications] 釣本 敏樹: "化学フロンティア:ポストゲノムの分子生物学(村上康文編) ゲノム複製メカニズムの理解を目指して"化学同人. 12 (2003)