2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12141204
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
藤田 雅俊 国立がんセンター(研究所), ウイルス部, 室長 (30270713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清野 透 国立がんセンター(研究所), ウイルス部, 部長 (10186356)
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Keywords | DNA複製 / 細胞周期制御 / 染色体不安定性 / サイクリン / Cdk / Cdt1 / 発癌 / クロマチンリモデリング複合体 / 核アクチン |
Research Abstract |
Cdt1はORC/CDC6と共に、MCM loading機構を形成している。S期以降は再複製防止のために、ORC/CDC6はCdkリン酸化により抑制される。Cdt1制御は抑制蛋白gemininの結合によると考えられていたが、Cdkリン酸化によっても機能抑制されることを我々は明らかにした。すなわち、Cdt1はgemininとCdkリン酸化という二つの機構で、S期以降機能抑制されている。そのように厳密にCdt1活性が制御されているということは、その逸脱は重大な障害を引き起こす可能性が考えられる。実際に癌細胞株においてCdt1の過剰発現が認められた。そこでCdt1過剰発現の効果を調べたところ、再複製を誘導することなく染色体障害を引き起こしATM-Chk2系を活性化することがわかった。このような効果はORC1やCDC6では認められなかった。さらに、ヒト正常繊維芽細胞にCdt1を過剰発現させたところ、染色体不安定性が誘導された。最近Cdt1が発がんに関わっている可能性が報告されたが、我々の知見はその分子基盤を明らかにしたものである。過剰発現が染色体障害・ATM系の活性化を引き起こす分子の例はあまりなく、染色体不安定性の新しい機構であると考えられ、その詳細な分子機構の検討を進めている。 アクチン特異的阻害剤latrunculinに耐性な変異ベータアクチンを持つHeLa細胞を樹立し、そこからベータアクチンを含むBrg1クロマチンリモデリング複合体を精製し、解析した。結果としてATPase活性を含めたlatrunculinで抑制されるベータアクチンの機能はクロマチンリモデリング活性に必要ではないことが示唆された。一方、ベータアクチンとhuman Arp4/BAF53がdimerを形成することを明らかにした。実際にArp4の発現を抑制すると、Brg1複合体中のベータアクチン量も減少し、アクチンはArp4とのdimerとして核に輸送され、Brg1複合体に取り込まれる可能性が考えられた。またベータアクチンとArp4を含まない、Brg1複合体の活性は低下していた。よってこれら二つの分子はBrg1複合体の機能にとって重要であることが示された。しかしその分子機構は依然なぞである。
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