2002 Fiscal Year Annual Research Report
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12143201
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安井 明 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (60191110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高尾 雅 東北大学, 加齢医学研究所, 助手 (70216612)
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Keywords | 活性酸素 / DNA損傷 / DNA修復 / ミトコンドリア / ポリADPリボシル化 |
Research Abstract |
我々は、これまで全く分かっていなかった、酸化されたピリミジン塩基の哺乳動物での意義を理解するために、哺乳動物で唯一のグリコシラーゼとして知られていたendoIIIホモローグをコードするマウスNthl遺伝子のノックアウト個体を作成した。これまで(1年半)のところ、そのマウスに異常は見つからず、X線で肝臓に生じたTgは、野生型マウスと比べてよりゆっくりではあるが取り除かれていた。その機構の理解のために、このマウスの肝臓エキストラクトの生化学的解析を行い、核とミトコンドリアに存在する二つの新しいTgのグリコシラーゼTGG1とTGG2を発見し、その活性を同定した。さらに昨年後半に、マウスのデータベースに3種類のnei-Fapyホモローグ遺伝子が登録された。これをNEIL(Nei-like)1,2,3と名付けて、リコンビナント蛋白の活性を調べたところ、NEIL1が各種のピリミジン損傷を切る活性を持つグリコシラーゼであることが分かった。そこで、Nth1のノックアウトの細胞抽出液中の活性を調べたところ、TGG1とTGG2とは異なる、高い塩濃度で抽出されるNEIL1の活性を同定した。すなわち、哺乳動物には4種類の核あるいはミトコンドリアゲノム上のTgを切る活性のあることが分かった。マウスではNth1は肺、肝臓、精巣などで発現が高く、NEIL1は心臓や脾臓などでNTH1より発現が高い。また、NEIL1は単鎖上の損傷も切り取る能力があり、NTH1とは機能分担をしていると考えられる。今後、TGG1とTGG2の遺伝子の同定、NEIL2とNEIL3の活性の同定、これらの機能分担と欠損による病態の決定を行い、核とミトコンドリアでの活性酸素による塩基損傷の癌や老化への寄与を明らかにする。また我々は、単鎖切断に対するヒト細胞の応答機構を解析する新しい細胞実験系を開発し、単鎖切断の近傍の蛋白のポリADPリボシル化、そのシグナルに伴うXRCC1蛋白の核内Fociからの移動など、単鎖切断に対するヒト細胞の時間的、空間的応答過程を視覚化して解明することが出来た。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Takao, M. 他: "A back-up glycosylase in Nth1-knockout mice is a functional Nei (endonuclease VIII) homologue"J.Biol.Chem.. 277. 42205-42213 (2002)
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[Publications] Schul, W. 他: "Enhanced repair of cyclobutane pyrimidine dimers and improved UV resistance in photolyase transgenic mice"EMBO J.. 21. 4719-4729 (2002)
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[Publications] Miyabe, I. 他: "Identification of 5-formyluracil DNA glycosylase activity of human hNTH1 protein"Nucleic Acids Res.. 30. 3454-3463 (2002)
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[Publications] Takao, M. 他: "A Novel nuclear and mitochondrial glycosylases revealed by disruption of the mouse Nth1 gene encoding an endonuclease III homologue for repair of thymine glycol"EMBO J.. 21. 3486-3493 (2002)
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[Publications] Oster, H. 他: "Disruption of mCry2 restores circadian rhythmicity in mPer2 mutant mice"Genes Dev.. 16. 2633-2638 (2002)
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[Publications] Albus, H.: "Cryptochrome-deficient mice lack circadian electrical activity in the suprachiasmatic nuclei"Curr.Biol.. 9. 1130-1133 (2002)