2002 Fiscal Year Annual Research Report
Mutsヘテロダイマーによるミスマッチ認識機構の解析
Project/Area Number |
12143206
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
池島 三与子 日本医科大学, 医学部, 講師 (30246938)
|
Keywords | ミスマッチ修復 / DNA修復蛋白質 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
ミスマッチ結合蛋白質であるMutSヘテロダイマーは複製エラーだけでなくDNA附加体に結合することが知られている。このようなDNA結合の多様性はミスマッチ修復と他のゲノム代謝系とのネットワークを示唆する。そこでMutSヘテロダイマーのDNA結合スペクトラムについて再検討を行った。注目したのは複製エラーでなく、細胞にオリゴヌクレオチドを導入した時に生じるミスマッチである。この研究は遺伝子治療技術として開発されたが、ミスマッチ認識機構の解析と他の代謝系とのネットワークを研究するのに役立つと考えられる。 M13mp2の不活性型lacZ遺伝子を標的遺伝子として、標的遺伝子と相補する塩基配列(25bp)および中央にミスマッチ塩基を持つ種々のオリゴヌクレオチド(環状キメラ、環状、単鎖)による遺伝子修復について検討した。(1)無細胞遺伝子修復系の確立:M13mp2のRF、ミスマッチを持つオリゴおよび細胞抽出液をインキュベート後RFを回収し、表現型の変化からlacZ遺伝子の修復を測定した。ミスマッチを持つオリゴおよび細胞抽出液が修復に必要で、オリゴの効率は単鎖>環状で、環状キメラにはなかった。ミスマッチ修復が欠損した細胞を用いても遺伝子修復が見られた。(2)オリゴと標的遺伝子の複合体形成およびミスマッチ結合蛋白質との相互作用:lacZ遺伝子の断片とラベルしたオリゴをインキュベートすると塩基配列に依存して複合体を形成した。さらにミスマッチ結合蛋白質であるhMutSalphaを加えゲルシフトを行ったところミスマッチに依存した結合が見られた。以上よりミスマッチ修復はミスマッチを認識するが修復はせずむしろ阻止する可能性を示した。遺伝子修復にはミスマッチ修復以外のDNA代謝系が関与することが考えられた。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Ikejima, M., Shimada, T.: "Molecular mechanism of oligonucleotide-mediated gene repair"Mol. Ther.. 5. S223 (2002)
-
[Publications] Ikejima, M.et al.: "Interaction between chimeric RNA/DNA oligonucleotides and double-stranded DNA"Mol. Ther.. 3. S363 (2001)
-
[Publications] 池島三与子, 島田隆: "ミスマッチ修復の分子機構"蛋白質・核酸・酵素. 46. 1124-1129 (2001)
-
[Publications] Ichikawa, M. et al.: "Decreased UV sensitivity, mismatch repair activity and abnormal cell cycle checkpoints in skin cancer cell lines derived from UVB-irradiated XPA-deficient mice"Mutation Res.. 459. 285-298 (2000)
-
[Publications] Orimo, H. et al.: "Association between single nucleotide polymorphisms in the hMSH3 gene and sporadic colon cancer with microsatellite instability"J. Hum. Genet.. 45. 228-230 (2000)
-
[Publications] 池島三与子: "hMLH3、新規ミスマッチ修復蛋白質"医学のあゆみ. 194. 686-687 (2000)