2003 Fiscal Year Annual Research Report
ベクトル輸送を制御するG蛋白質共役型受容体を介した新規シグナル伝達経路
Project/Area Number |
12144202
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堅田 利明 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (10088859)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 保弘 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (60345254)
星野 真一 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 講師 (40219168)
仁科 博史 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (60212122)
|
Keywords | G蛋白質 / PI3-キナーゼ / 小胞輸送 / エンドサイトーシス / Rab5 / RIN / アンフィファイシンII |
Research Abstract |
チロシンキナーゼ関連受容体や三量体G蛋白質共役型受容体(GPCR)の刺激によって、細胞内へのシグナルの発生と共に受容体自身のエンドサイトーシスや細胞内の小胞形成による方向性をもったベクトル輸送が進行する。しかしながら、両受容体刺激を介するシグナル伝達経路のクロストーク部位や小胞輸送に介在する低分子量G蛋白質Rab5の作用機構については未解明な部分が多い。平成15年度はこれらの点について主に解析し、以下の知見を得た。1、触媒サブユニットp110βからなる2量体型イノシトールリン脂質3-OHキナーゼ(PI3-キナーゼ)p110β/p85は、好中球においてチロシンキナーゼ関連受容体とGPCRの2種の異なる受容体の共刺激によって相乗的に活性化されるが、この活性化に関わるアダプターとしてGab2を同定した。Gab2は、p85との結合に関わるTyr残基のリン酸化に加えて、GPCRの刺激によってさらにSer/Thr残基がリン酸化され、このリン酸化にはErkの活性化が関与した。2、Rab5結合蛋白質として先に同定したRINファミリー分子は、SH2ドメイン、SH3ドメインの結合するProに富む配列やRas結合ドメインなど、シグナル伝達に関与し得る多くの機能ドメインを有したが、そのSH3ドメインにはアンフィファイシンIIが結合し、クラスリン被覆小胞の陥入に関与する可能性が示された。3、さらにRasスーパーファミリーに属する新規低分子量Gタンパク質のRRP22とGIEを単離・同定した。RRP22は細胞内でその多くがGTP結合型で存在するというユニークな特性を示し、核小体に局在化して存在した。また、GIEはチュブリンと結合し、その発現をRNAiによって抑制すると染色体の分離に異常が認められることから、微小管との相互作用を介して染色体分離を制御する可能性が示された。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Kajiho H, Saito K, Tsujita K, Kontani K, Araki Y, Kurosu H, Katada T.: "RIN3: a novel Rab5 GEF interacting with amphiphysin II involved in the early endocytic pathway"J.Cell Sci.. 116. 4159-4168 (2003)
-
[Publications] Momose H, Kurosu H, Tsujimoto N, Kontani K, Tsujita K, Nishina H, Katada T.: "Dual phosphorylation of PI 3-kinase adaptor Gab2 is responsible for O_2^- formation synergistically stimulated by Fcgamma and fMLPreceptors in differentiated THP-1 cells"J.Immunol.. 171. 4227-4234 (2003)
-
[Publications] Kishimoto H, Nakagawa K, Watanabe T, -, -, -, -, -, -, -, -, Nishina H, Katada T: "Different properties of SEK1 and MKK7 in dual phosphorylation of stress-induced activated protein kinase SAPK/JNK in embryonic stem cells"J.Biol.Chem.. 278. 16595-16601 (2003)
-
[Publications] Nishitai G, Shimizu N, Negishi T, -, -, -, -, -, -, -, Hiroshi N, Katada T: "Stress induces mitochondria-mediated apoptosis independent of SAPK/JNK activation in embryonic stem cells"J.Biol.Chem.. 279. 1621-1626 (2004)
-
[Publications] 梶保博昭, 齋藤康太, 荒木保弘, 堅田利明: "極性細胞での小胞輸送:Rabファミリーによる制御機構"蛋白質 核酸 酵素. 48. 133-139 (2003)
-
[Publications] 堅田 利明, 富田 麗, 高橋 勝宣: "生物薬科学実験講座第11巻 神経(脳)II(佐藤 公道, 野村 靖幸編)GTP結合タンパク質活性測定法"廣川書店. 144 (2003)