2001 Fiscal Year Annual Research Report
小分子のベクトル輸送を担う分子の局在決定と細胞接着を結びつける分子機構の解明
Project/Area Number |
12144203
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
畑 裕 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (80313237)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萬代 研二 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (50322186)
|
Keywords | ベクトル輸送 / 上皮細胞間結合 / 細胞接着 / 細胞極性 / PDZ領域 / イオンチャンネル |
Research Abstract |
多細胞生物における体内環境の恒常性維持には、内界と外界を境する上皮細胞における、イオン・水・小分子の方向性のある輸送(ベクトル輸送)が重要である。私共は、ベクトル輸送を担う分子が、上皮細胞の特定の領域でのみ機能するメカニズムを、これらの分子を裏打ちする分子群から解析している。とくに細胞接着に伴うシグナルが、いかなる分子間相互作用を介して、ベクトル輸送分子の特定領域への局在を決定しているかを解明しようとしている。今年度は、まずイオンチャネルであるNMDA受容体を裏打ちするS-SCAMが、接着分子カドヘリンの裏打ち分子であるβカテニンとの結合を介してシナプスに局在決定されることを明らかにしている。このことは、カドヘリンによる接着が、βカテニンとS-SCAMを介して、NMDA受容体の局在を決定する可能性を示唆する。また、上皮細胞においては、S-SCAMの上皮細胞型アイソフォームMAGI-1/BAP1に結合する分子を探索して、イムノグロブリンスーパーファミリーに属する新規の接着分子を見出し、解析を進めている。従来、MAGI-1/BAP1に結合する接着分子は見出されていなかったが、上皮細胞においても、神経シナプスにおけるのと同様に、接着分子が裏打ち蛋白質を介して、イオンチャネルなどの局在を決定する可能性があると考えられる。さらに、上皮細胞を裏打ちするカテニン類似分子p0071に結合する新規のPDZ蛋白質PAPINが、上皮細胞の頂端面と側面の両方に局在し、側面においてはp0071を介して、受容体ErbB2の局在決定をする裏打ち蛋白質ERBINと複合体を形成することを明らかにしている。萬代は、上皮細胞接着分子ネクチンが裏打ち蛋白質アファジンを介してZO-1と間接的に相互作用することを明らかにしている。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Iida, J. et al.: "Synaptic localization of membrane-associated guanylate kinase-interacting protein mediated by the pleckstrin homology domain"European Journal of Neuroscience. (in press).
-
[Publications] Hirabayashi, S. et al.: "C2PA is a nuclear protein implicated in heat shock response"Journal of Cellular Biochemistry. (in press).
-
[Publications] Nishimura, W. et al.: "Interaction of synaptic scaffolding molecule and β-catenin"Journal of Neuroscience. 22(3). 757-765 (2002)
-
[Publications] Yokoyama, S. et al.: "Alpha-catenin-independent recruitment of ZO-1 to nectin-based cell-cell adhesion sites through afadin"Mol.Biol.Cell. 12(6). 1595-1609 (2001)
-
[Publications] Nishimura, W. et al.: "Localization of BAI-associated protein1/membrane-associated guanylate kinase-1 at adherens junctions in normal rat kidney cells"Journal of Cellular Physiology. 185(3). 358-365 (2000)
-
[Publications] Deguchi, M. et al.: "PAPIN : a novel multiple PSD-95/Dlg-A/ZO-1 protein interacting with neural plakophilin-related armadillo repeat protein/δ-catenin and p0071"Journal of Biological Chemistry. 275(38). 29875-29880 (2000)