2004 Fiscal Year Annual Research Report
イオン・水ベクトル輸送におけるカリウムチャネル極性分布の役割とその分子基盤
Project/Area Number |
12144207
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
倉智 嘉久 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30142011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 優 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10324758)
日比野 浩 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70314317)
丸山 芳夫 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00133942)
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Keywords | 内向き整流カリウムチャネル / 水チャネル / 上皮細胞 / ホメオスターシス / 腎臓 / グリア |
Research Abstract |
本研究では、上皮細胞・グリア細胞等におけるイオン・水の極性輸送(ベクトル輸送)の分子基盤を解明し、その異常により生ずる疾患の病態理解や治療法の開発を目的としている。特に内向き整流カリウムチャネルKir4.1・Kir5.1、水チャネルAQP4を対象とし、細胞内局在機構とチャネル機能の理解を目指している。これまでに我々は、Kir4.1・Kir5.1が、胃の壁細胞や内耳の血管状といった上皮組織ではそれぞれホモ複合体として存在する一方で、別の上皮組織である腎尿細管ではヘテロ複合体として分布し、各臓器におけるK^+のベクトル輸送に深く関わっていることを見出してきた。また近年、網膜のグリア細胞(ミュラー細胞)では、Kir4.1/Kir5.1のヘテロ複合体がシナプス周囲の突起に、Kir4.1のホモ複合体がendfoot・血管周囲の突起に分布しており、前者は神経活動により上昇した細胞外のK^+の吸収を担い、後者は回収したK^+を硝子体や血管腔へ放出する機能を持つ可能性を見出した。最近、新たに我々は、脳のグリア細胞であるアストロサイトでは、Kir4.1/Kir5.1のヘテロ複合体が血管周囲突起に分布するが、ヘテロ複合体とKir4.1のホモ複合体は領域特異的に神経周囲突起に局在し、K^+のバッファリング作用においてそれぞれ異なった機能を果たしている可能性を明らかにした。更に、Kir4.1・Kir5.1はAQP4と生化学的に分離できる特殊な微小膜ドメインで共存していることも見出し、これがアストロサイトにおけるK^+・水の極性輸送において非常に重要な膜ドメインであることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)