2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12145101
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高橋 淑子 理化学研究所, パターン形成研究チーム, チームリーダー (10183857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹羽 仁史 理化学研究所, 多能性幹細胞研究チーム, チームリーダー (80253730)
赤坂 甲治 広島大等, 大学院・理学研究科, 教授 (60150968)
荻野 肇 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (10273856)
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Keywords | 分節 / 体節 / セグメンター / エレクトロポーション法 / Rhoファミリー / 細胞極性 / 上皮細胞 / 間充織細胞 |
Research Abstract |
我々はこれまでに、脊椎動物のかたちづくりにおける分節構造の構築メカニズムについて、主に分節境界の形成をつかさどる分子機構に注目して研究を行ってきた。本特定領域研究においては既に、組織間の境界を形成する新規の誘導活性「セグメンター」を発見しており、このセグメンターを中心にプロジェクトが展開している。本年度は特に、セグメンターが境界を作った後、その境界に位置する細胞がどのようにして間充織から上皮へと転換するのかについて注目して研究を行った。一続きの未分節体節組織が分節化を経て独立した体節を作るとき、一つ一つの体節はその周辺を上皮細胞に囲まれる。この上皮形成が正常におこらないと体節組織はその構造を維持できず、その結果脊椎骨や骨格筋の分化にさまざまな異常が見られるようになるなど、分節における細胞の上皮化は極めて重要な現象である。我々が独自に開発したニワトリ胚体節細胞へのエレクトロポレーション法により、低分子量Gタンパク質であるRhoファミリー遺伝子を導入し強制発現させた。Rho、Rac1、Cdc42について、それぞれドミナントネガテイブ、ドミナントアクテイブ型を発現させたところ、Rac1のドミナントネガティブ型とCdc42のドミナントアクティブを用いた場合、体節細胞は上皮化をおこさなかった。逆に、Cdc42シグナルを阻害する操作を行ったところ、体節細胞はほぼすべて上皮化した。これらのことから、分節における細胞の上皮化にはRac1の活性がCdc42の活性を上回ること、また間充織が間充織として維持されるためには、Cdc42の活性がRac1を上回ることなどが示唆された。Rhoファミリー分子の機能と細胞の極性確立については、これまでほとんどin vitroの研究しか行われていなかった。今回の成果は、Rhoファミリー分子が実際にからだの中でどのように細胞極性を制御しているかということについて、大きな貢献をもたらしたといえる。
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[Publications] Shiroi, A., Yoshikawa, M., Yokota, H., Fukui, H., Ishizaka, S., Tatsumi.K., Takahashi, Y.: "Identification of insulin producing cells derived from embryonic stem cells by zinc-chelating dithizone"STEM CELLS. 20. 284-292 (2002)
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[Publications] Sato, Y., Yasuda, K., Takahashi, Y.: "Morphological boundary forms by a novel inductive event mediated by Lunatic-Fringe and Notch during somitic segmentation"Development. 129. 3633-3644 (2002)
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[Publications] Suetsugu, R., Sato, Y., Takahashi, Y.: "Pax 2 expression in mesodermal segmentation and its relationship with EphA4 and Lunatic fringe during chicken somitogenesis"Mechanisms of Development. 2. 157-161 (2002)