2003 Fiscal Year Annual Research Report
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12145101
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高橋 淑子 独立行政法人理化学研究所, パターン形成研究チーム, チームリーダー (10183857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤坂 甲治 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60150968)
安田 國雄 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 副学長 (30025473)
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Keywords | 分節 / 体節 / エレクトロポレーション法 / Rhoファミリー / Rac1 / Cdc42 / 細胞極性 / 細胞 |
Research Abstract |
本研究では、脊椎動物をもっとも特徴づける体の分節現象を中心にして、分節時にみられるダイナミックな細胞の振る舞いの変化の分子機構について研究を進めている。本年度は、分節部位における細胞の上皮化と極性の変化のしくみについて、RhoファミリーGTPaseの役割について解析した。RhoファミリーGTPases(Rho, Rac, Cdc42)は、培養細胞を用いた数々の研究から、細胞の極性や移動に必須の分子として、多くの研究者の注目を集めている。とりわけRac1とCdc42は細胞間接着や細胞の上皮化に重要な役割をもつている。しかしながら、これらの分子が実際に3次元多細胞体制におけるからだづくりにおいて、一体どのような役割を果たしているのかについては、ほぼ何もわかっていないと言っていい。本研究では、脊椎動物の分節化にみられる周期性や組織の単純性をうまく利用し、Rac1とCdc42が体節分節における細胞の上皮化に大きな役割をもつことを見出した。まず、コントロールであるGFP遺伝子を体節細胞にエレクトロポレーションを用いて発現させたところ、GFPpositive細胞は体節の上皮と間充織に同等に分布していた。ところが活性型Cdc42のエレクトロポレーションでは、遺伝子を導入された細胞はほぼすべてが間充織細胞になり、その逆に、Cdc42のドミナントネガティブ型導入細胞のほとんどは上皮細胞となった。このことは、本来の分節にみられる細胞の上皮化には、Cdc42の活性が低く保たれることが必須であることを意味する。またRac1に関しては、ドミナントアクティブ型もドミナントネガティブ型も、正しい上皮化を阻害した。このとき、上皮化の指標となるカドヘリンやF-actinの分布様式も乱れていた。さらに体節分節において、転写因子であるParaxisとRac1が相互に作用していることを見出した。以上の成果は、現在Developmental Cell に投稿後、改訂中である。
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[Publications] Suetsugu, R., Sato, Y., Takahashi, Y.: "Pax 2 expression in mesodermal segmentation and its relationship with EphA4 and Lunatic fringe during chicken somitogenesis."Mechanisms of Development. 199S. 155-159 (2003)
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[Publications] Tonegawa, A., Kasai, T., Takahashi, Y.: "Systematic screening for signaling molecules expressed during somitogenesis by the signal sequence trap method."Developmental Biology. 262. 32-50 (2003)
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[Publications] Takahashi, Y.: "Somitogenesis in vertebrate development."Encyclopedia of Life Sciences(Nature Publishing Group). (in press). (2004)
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[Publications] Takahashi, Y: "Shaping up of the chic chick : boundary formation shared between somitogenesis and brain development."International Journal of Developmental Biology. (in press). (2004)