2001 Fiscal Year Annual Research Report
体節形成プログラムの進化-魚類を用いた発生遺伝学的解析
Project/Area Number |
12145203
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川上 厚志 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (00221896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 洋幸 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80179647)
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Keywords | ゼブラフィッシュ / 体節 / FGF / 突然変異体 / ソニックヘッジホッグ / 分子時計 |
Research Abstract |
Fgfシグナルによる分節位置の決定:zebrafish her1(bHLH型転写因子)は、尾部側の未分節中胚葉で体節形成の周期に同一の発現変動を示し、頭部側でその振動を停止して分節境界の位置が決定される。これらの事実は、未分節中胚葉内に何らかの位置情報が存在することを示唆している。我々は、尾部側で高く、頭部側で低いFgfシグナルがこの過程に関与していることを見出した。まず、Fgfシグナルの役割をFgf受容体のtyrosine kinaseに対する特異的阻害剤、SU5402を用いて調べてみた。その結果、Fgfシグナルを一過的に阻害することにより、her1の発現停止の位置、分節関連遺伝子の発現開始の位置そして分節形成の位置がそれぞれ尾部側に移動し、その結果として大きな体節が形成されたと解釈された。さらに、Fgf8をしみこませたビーズを未分節中胚葉に移植すると、一過的に小さな体節ができることも確認された。以上の結果より、Fgfシグナルが未分節中胚葉内で位置情報として機能して、尾部から頭部領域にかけて変化する分節ブログラムを制御して分節位置を決定していることが明らかとなった(Sawada et al.,2001)。 fused somitesの原因遺伝子の同定:ゼブラフィッシュfused somitesは、すべての体節が融合する最も重篤な表現型を示す変異体として注目されていた。最近我々は、水産庁養殖研の荒木、二階堂博士らと共同して、この原因遺伝子が新規のT-box転写因子をコードすることを明らかにした。 ゼブラフィッシュ変異体のスクリーニング:以上の結果をさらに進め、体節の分節を引き起こすFgfおよびその他の体節形成のシグナル伝達過程と調節機構を明らかにしていくため、自らの研究グループでのゼブラフィッシュ変異体の作製・スクリーニングに着手した。本年度は、ENUを用いた変異の誘発を行い、F1子孫の作製を行った。
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[Publications] Haraguchi, S.: "Transcriptional regulation of Mesp1 and Mesp2 genes : differential usage of enhancers during development"Mechaniam of Development. 108. 59-69 (2001)
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[Publications] Sawada, A.: "Fgf/MAPK signalling is a crucial positional cue in somite boundary formation"Development. 128. 4873-4880 (2001)
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[Publications] Nomura-Kitabayashi, A.: "Hypomorphic Mesp allele distinguishes establishment of rotrocaudal polarity and segment border formation in somitogenesis"Development. (in press).
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[Publications] Saga, Y.: "The making of the somite : molecular events in vertebrate segmentation"Nature Reviews Genetics. 2. 835-845 (2001)