2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12145204
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
相賀 裕美子 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 教授 (50221271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 雄 国立医薬品食品衛生研究所, 毒性部, 主任研究官 (60321858)
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Keywords | 体節形成 / Mesp2 / Dll1 / Dll3 / ノックアウトマウス / 前後極性 / Lunatic Fringe |
Research Abstract |
脊椎動物の分節性(繰り返しパターン)を形成する分子機構を遺伝学的に解析した。体節の前後極性の確立は、転写因子Mesp2とNotchシグナルの相互作用によってもたらされることをこれまで明らかにしてきた。Mesp2遺伝子座を利用し、Mesp2の機能とNotchシグナルとの関係をより詳細に解析する目的で、Mesp2遺伝子座にDll3をノックインしたマウスを作成した。Mesp2が欠損するマウスでは、Dll1の発現抑制が起こらずに体節がすべて後方化するが、Dll3をMesp2の代わりに発現するマウスにおいて、一見Mesp2の機能がレスキューされているような表現型を得た。Dll1の発現が著しく抑制され、その下流の遺伝子uncx4.1の発現もストライプパターンが回復し、部分的に分節境界も作成されていた。これの解釈は非常にむずかしく、Dll3が細胞自立的に機能したのか、それともリガンドDll3によりNotchシグナルを介して機能したのか現在のところは不明である。しかしこのDll3の発現がDll1-Notchシグナル系に抑制的に働いたのは明らかである。今後このDll3の機能がPsen1を介して機能するのか?またRbp-jkを介した機能であるのかといった点を明らかにする必要がある。また我々はNotchレセプターを修飾するlunatic-FringeをMesp2遺伝子座に導入したマウスも作成した。現在まだ解析中であるが、やはりDll1-Notchシグナルには拮抗的に働いているようである。体節の形成過程では、未分節中胚葉におけるMesp2を中心とした遺伝子制御が中心的働きをしている。その中で、Dll-NotchとDll3-Notchという2つの経路が考えれられるがこれらがlunati-Fringeに同様に制御されているのかも今後の大きな課題である。
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[Publications] Takahashi Y, Inoue T, Gossler A, Saga Y: "Feedback loops comprising Dll1, Dll3 and Mesp2, and differential involvement of Psen1 are essential for rostrocaudal patterning of somites."Development. 130. 4253-4268 (2003)