2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12146202
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
岩井 一宏 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60252459)
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Keywords | pVHLリガーゼ / 腎細胞癌 / PKCλ / IRP2 / ユビキチン / 酸化修飾 / 選択的蛋白分解 |
Research Abstract |
von Hippel-Lindau病の原因遺伝子、かつ散発性腎淡明細胞がんのがん抑制遺伝子として同定されたVHL遺伝子の産物pVHLは、VBC-Cu12ユビキチンリガーゼ(pVHLリガーゼ)の基質認識サブユニットとして機能しており、pVHLリガーゼは酸素応答性転写因子であるHIF-1のαサブユニットを酸素依存性に認識して分解に至らしめることを示してきた。しかしながら、HIF-1の安定化のみでは、VHL欠損によって生じる多彩な腫瘍の発生を説明することはできないと考えられることから、本年度はpVHLリガーゼのHIF-1α以外の基質の存在に関して検索を加えた。その結果、pVHLと結合することが示されていたプロテインキナーゼCファミリーの1つであるPKCλがpVHLリガーゼによりユビキチン化されること、しかもpVHLリガーゼは活性化されたPKCλが選択的に識別し、分解に至らしめることを明らかにした。PKCλは細胞接着や細胞極性の形成に関与することが知られていることから、VHL欠損によるPKCλの活性制御異常がVHL欠損による発癌の一翼を担うと考えられる。 また、本研究のもう1つのテーマである鉄代謝の制御因子IRP2の鉄依存性ユビキチン化に関しては本年度大きな進展があった。すなわち、無酸素培養下での酵母2ハイブリッドスクリーニング法を用いて、IRP2を鉄依存性に選択的に識別するユビキチンリガーゼHOIL-1の同定に成功した。そのために当初計画していなかった研究用備品を購入し、本ユビキチンリガーゼの機能解析を進めた。それらの機器を用いて(1)HOIL-1は細胞内で鉄依存性にIRP2に結合すること、(2)鉄が過剰な状態ではIRP2にヘムが結合し、ヘムと酸素により酸化変化を受けること、(3)HOIL-1はヘムにより酸化修飾されたIRP2を選択的に識別しユビキチン化すること、すなわちHOIL-1は酸化変化を選択的に識別するユビキチンリガーゼであることを示すことができた(投稿中)。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] LaVaute, T., et al.: "Targeted deletion of iron regulatory protein 2 causes iron overload and neurodegenerative disease in mice"Nature Genet.. 27. 209-214 (2001)
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[Publications] Ciechanover, A., et al.: "Mechanisms of ubiquitin-mediated,limited processing of the NF-kappaB1 precursor protein p105"Biochimie. 83. 341-349 (2001)
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[Publications] Kawakami, T., et al.: "NEDD8 recruits E2-ubiquitin to SCF E3 ligase"EMBO J.. 20. 4003-4012 (2001)
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[Publications] Okuda, H., et al.: "The Von Hippel-Lindau (VHL) Tumor Suppressor Protein mediates Ubiquitination of Activated Atypical Protein Kinase C"J.Biol.Chem.. 276. 43611-43617 (2001)
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[Publications] 岩井 一宏, 齋藤 耕二朗: "pVHLユビキチンリガーゼと発癌"実験医学・増刊号 タンパク質分解の最前線. 19. 44-49 (2001)
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[Publications] 山中 宏二, 岩井 一宏: "鉄イオン代謝制御蛋白IRP2の活性制御メカニズム"別冊・医学のあゆみ 酸化ストレス フリーラジカル医学生物学の最前線. 65-68 (2001)