2004 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレスを伴う哺乳類細胞の生物学的系における抗酸化分子とチロシンキナーゼ
Project/Area Number |
12147202
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
丸 義朗 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (00251447)
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Keywords | 活性酸素 / チロシンキナーゼ / Nox / 血管内皮細胞 / 卵細胞 |
Research Abstract |
(1)直接的に活性酸素の産生に関与する分子である古典的なNADPHオキシダーゼ複合体は現在Nox2と命名されており、これと相同性を有する分子が複数同定されている。その一つであるNox1が肝臓の類洞の内皮細胞で発現していることを見い出した。同細胞の初代培養では血管内皮細胞増殖因子(VEGF)依存性の細胞増殖を認めるが、Nox1はこれと平行して転写を介した発現上昇を示した。これに対して、Nox2の発現はmRNAのレベルで変化を認めなかった。ところがNox1自体の生物学的活性は逆説的にも細胞死であり、そのsiRNAや活性酸素のスカベンジャーなどの投与でVEGF抵抗性の細胞死は回復した。すなわち転写が誘導されたNox1の活性はVEGFの活性と拮抗するものであった。さらに、Nox1を肝類洞の内皮細胞株で過剰発現させるとマトリゲル上で毛細血管様のネットワークを形成した。この現象も抗酸化作用を有する化学物質で抑制された。興味あることにVEGF受容体の恒常的活性化型を発現させると管腔形成が認められるのみ対し、Nox1のそれは管腔を形成していなかった。 (2)受精時に活性酸素が関与することは古くから知られている。我々はマウス卵細胞ではNox2が中心的に発現していることを見い出した。さらにウニ卵でNox相同性遺伝子を探索し、新規Nox遺伝子Nox-U1を発見した。遺伝子進化論的にはNox2からはむしろ分岐し、Nox4やNox5に近縁な遺伝子であることも報告した。FADやNADPHの結合に関与する領域、膜貫通部分などは極めてよく保存されていた。現在抗体を作成し、受精への関与を研究中である。
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