2002 Fiscal Year Annual Research Report
短寿命活性種をシグナルとするセンサー蛋白質の構造と機能
Project/Area Number |
12147205
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 一雄 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (30116032)
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Keywords | 酸化ストレス / 転写因子 / SoxR / 鉄イオウクラスター / X線結晶解析 / スーパーオキサイドアニオン |
Research Abstract |
酸化ストレスが増大すると、防御修復系タンパク質の活性誘導される現象が広く生物界に見られる。大腸菌において、スーパーオキサイドアニオン産生に応答する遺伝子の発現調節に関わる調節因子であるSoxRが単離されている。しかしながら、これら活性種がSoxRのセンサーとして機能していると推定されるが、その分子機構はよく分かっていない。SoxRは、転写制御部位に鉄イオウクラスターを持ち、その酸化還元により転写調節するというユニークな性質を有し、その特異な構造と機能は注目される。本研究では、大腸菌におけるSoxRに依存した酸化ストレス応答の分子機構を明らかにすることを目的としてSoxRのX線構造解析を目的として結晶化を試みてきた。その中でも転写活性部位であるDNA結合領域を持つタンパク質と、転写調節部位であり酸化還元中心である鉄イオウクラスターを別々に大量発現させた。それぞれタンパク質の結晶化を試み、シンクロトロン放射光による回折実験を行ったところ、3.1オングストローム分解能の回折強度データを収集できた。またSoxRの鉄イオウクラスタードメインのNMRによる測定を行い、現在その溶液中での構造を解析中である。また大腸菌以外に存在するSoxRとしてPseudomonas aerginosaにて同様の配列を持つ遺伝子の存在が確認され、このタンパク質を大量発現させ、このタンパク質が同様の鉄イオウクラスターを持つことを確かめた。しかしながら、Pseudomonas aerginosaには酸化ストレス応答に必要な転写因子SoxSが存在せず、またスーパーオキサイドアニオン産生による防御修復タンパク質の活性誘導があまり顕著でないことが分かった。このことはSoxRが酸化ストレス応答以外の他の転写制御にかかわっていることを示唆している。
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