2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヘム結合型酸素センサーキナーゼの酸素センシングとリン酸化シグナリングの分子機構
Project/Area Number |
12147210
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (B)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中村 寛夫 理化学研究所, 生体物理化学研究室, 先任研究員 (80270594)
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Keywords | 酸素適応 / 酸素セレサー / 情報伝達系 / プロテインキナーゼ / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
【酸素センサータンパク質FixLの初発情報変換機構】 二成分情報伝達系の作動はまず、リガンドの結合/解離によって始まる。FixLのリガンドである酸素分子はセンサードメインのヘムに結合する。酸素分子の認識機構を調べるために、センサードメインのX線結晶構造解析を行った(論文1)。FixLがキナーゼ活性の制御を行うためには酸素の結合/解離がセンサードメインのタンパク質構造変化を引き起こさなければならない。これまでのXAFS測定などの結果からヘム近位測(第5配位子側)アミノ酸の構造変化は検出されていないことから、酸素の結合/解離は遠位側アミノ酸の構造変化を引き起こすということが予想された。そこで、遠位側アミノ酸Ile209とIle210をアラニンなどに置換した変異体を作成して分光学的、生化学的解析を行った(論文2)。これら変異体は酸素結合能を持つが、酸素存在下でも酸素解離型と同様に自己リン酸化活性を持つことが判明した。この結果はヘム遠位側のアミノ酸がキナーゼ活性の調節機構の初発段階に関与していることを強く示唆する。 【哺乳動物の酸素適応機構】 哺乳動物では低酸素障害や虚血に対して主に循環器系、造血系での適応応答がみられる(VEGFやエリスロポエチンの合成など)。古くから培養細胞系では低酸素処理の代わりにコバルト添加によっても同様の応答があることが知られている。我々はコバルトを経口摂取させたラットの低酸素灌流、再酸素化での心臓の発生圧、心拍数、仕事量などを測定したところ、著しい心機能の増強を認めた。コバルト処理ラットの心筋組織ではVFGFの発現量が上昇しており、血管新生による筋組織の酸素摂取量の増加などが心機能増強を支えていると考えた(論文3)。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Miyatake H,Mukai M,Park SY,Adachi S,Tamura K,Nakamura H,Nakamura K.Tsuchiya T,Lizuka T,Shiro Y: "Sensory mechanism of oxygen sensor FixL from Rhizobuim meliloti : crystallographic, mutagenesis and resonance Raman spectroscopic studies."Journal of Molecular Biology. 301・2. 415-431 (2000)
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[Publications] Mukai M,Nakamura K,Nakamura H,Iizuka T,Shiro Y.: "Roles of Ile209 and Ile210 on the Heme Pocket Structure and Regulation of Histidine Kinase Activity of Oxygen Sensor FixL from Rhizobium meliloti."Biochemistry. 39・45. 13810-13816 (2000)
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[Publications] Endoh,H.,Kaneko,T.,Nakamura,H.,Doi,K.,Takahashi,E.: "Improved cardiac contractile functions in hypoxia-reoxygenation in rats treated with low concentration Co(2+)."American Journal of Physiology-Heart and Circulatory Physiology. 279・6. H2713-H2719 (2000)