2001 Fiscal Year Annual Research Report
比較ゲノム解析に基づく遺伝子システムの多様化と進化機構の解明
Project/Area Number |
12202005
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
五條堀 孝 国立遺伝学研究所, 生命情報・DDBJ研究センター, 教授 (50162136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 成也 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 教授 (30192587)
藤山 秋佐夫 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系, 教授 (60142311)
岡田 典弘 東京工業大学, 生命理工学研究科, 教授 (60132982)
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Keywords | ゲノム / 多様性 / 系統進化 / DNA / 遺伝子発現 / プラナリア / シクリッド / 霊長類 |
Research Abstract |
異種間のゲノム情報を比較検討することにより、多細胞の遺伝子システムの多様化と進化機構を解明することを目的として研究をすすめた。(1)研究代表者の五條堀は、脳神経系の多様化の進化を遺伝子発現パターンの比較解析により解明することを目的として研究をすすめた。祖先的な脳神経系のモデルとして、プラナリアの頭部ライブラリーを用いてプラナリアマイクロアレイを作成し、神経系に特異的に発現する遺伝子の探索をおこなった。また、およそ120のプラナリアの遺伝子がなんらかの形で神経系に関係することが示唆された。さらに、この120のうち、酵母やシロイヌナズナにも共通の遺伝子として存在するものがあることが明らかとなり、生物の多様性が遺伝子の種類や数だけに起因するのではなくその使われ方が重要であることを改めて示唆していると考えられる。(2)岡田は、アフリカ産カワスズメ科魚類(シクリッド)を用いて、最も顕著な形態的特徴である顎の形に着目し、種分化・種形成の分子機構の解明をすすめた。種特異的な形態変化へとつながる遺伝子発現を検出する目的でcDNAライブラリーの配列決定をシークエンスセンターの協力によりい、DNAマイクロアレイを作成し遺伝子発現の種間比較を進めている。また、形態形成に関わる他生物での既知遺伝子をシクリッドより多数単離している。(3)藤山は、ヒトゲノムを特徴づける構造情報を明らかにすることを第一目標に、チンパンジーに関して、フローカリオタイプの決定を終了し、一系統に関してBACライブラリの作成と配付を開始した。更に、チンパンジー大脳、小脳cDNAライブラリの作成とスクリーニングのシステム化を行なった。ヒトに関しては、ヒトの10染色体から3600箇所のSTSについて、霊長類間の比較をおこなった。STSレベルのデータ収集に関しては継続的に進めている。(4)斎藤は、ヒトに近縁な類人猿ゲノムの塩基配列決定を行っている。同じ計画班の藤山秋佐夫班員の協力を得て,現在ゴリラのFosmidライブラリーを作成し、ゲノムを3倍カバーするクローンの整備がほぼ終了した。上記のクローンライブラリーとチンパンジーBACライブラリーを用いてHoxAクラスターとABO式血液型遺伝子領域について、ランダムショットガン配列決定を進めている。これらの研究成果の一部についてはSilver計画web(http://sayer.lab.nig.ac.jp/~silver/)で公開している。
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Research Products
(14 results)
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[Publications] Ogihara Y.: "Structural features of a wheat plastome as revealed by complete sequencing of chloroplast DNA"Mol Genet Genomics. 266・5. 740-6 (2002)
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[Publications] Tateno Y.: "DNA Data Bank of Japan(DDBJ) for genome scale research in life science"Nucl. Acids. Res.. 30・1. 23-30 (2002)
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[Publications] Niimura Y.: "In silico chromosome staining : Reconstruction of giemsa bands from the whole human genome sequence"Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.. 99・2. 797-802 (2002)
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[Publications] Sato S.: "Functional conservation of the promoter regions of vertebrate tyrosinase genes"J Investig Dermatol Symp Proc. 6・1. 10-18 (2001)
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[Publications] Bellgard M.: "Early detection of G + C differences in bacterial species inferred from the comparative analysis of the two completely sequenced Helicobacter pylori strains"J. Mol. Evol.. 53・4-5. 465-468 (2001)
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[Publications] Tsunoyama T.: "Intragenic variation of synonymous substitution rates is caused by nonrandom mutations at methylated CpG"J. Mol. Evol.. 53・4-5. 456-464 (2001)
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[Publications] Suzuki Y.: "Positively selected amino acid sites in the entire coding region of hepatitis C virus subtypes 1b"Gene. 17・7. 660-661 (2001)
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[Publications] Sato T.: "Codon and base biases after the initiation codon of the open reading frames in the Escherichia coli genome and their influence on the translation efficiency"J. Biochem.. 129. 851-860 (2001)
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[Publications] 岩間 久和: "神経伝達にかかわる蛋白質分子の進化"蛋白質・核酸・酵素. 46・11. 15863-1593 (2001)
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[Publications] 舘野 義男: "国際DNAデータバンクとバイオインフォマティクス"ESTRELA. 7・88. 11-17 (2001)
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[Publications] 遠藤 高帆: "3. 比較ゲノムによる機能予測"実験医学. 19・11. 1357-1362 (2001)
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[Publications] 五條堀 孝: "遺伝子から見た生物の進化"Computer Today. 104. 30-37 (2001)
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[Publications] 五條堀 孝: "ゲノム比較から見えるもの"biohistory. 18・3. 8-9 (2001)
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[Publications] 舘野 義男: "『ゲノム医科学がわかる』 わかる実験医学シリーズ"羊土社. 136 (2000)