2000 Fiscal Year Annual Research Report
ホヤの原始的な中枢神経系発生過程における細胞単位の遺伝子発現プロファイル解析-脳発生機構の進化を解析する端緒として-
Project/Area Number |
12202007
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 博章 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40174809)
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Keywords | 遺伝子発現プロファイリング / 色素細胞 / cDNAライブラリー / ホヤ / 脳胞 / 平衡器 / 眼点 |
Research Abstract |
本研究は、比較的簡単な原索動物の脳形成機構の解明を高次のデータベース構築を志向して行い、さらにこれをもとに、より複雑な我々脊椎動物の脳発生メカニズムとの比較から、そのエッセンスを抽出することを大きな目的とする。具体的には、(1)ホヤオタマジャクシ幼生中枢神経系および脳胞内感覚器を形成する細胞全てについて、細胞ごとのcDNAライブラリーを作製し、その網羅的な発現プロファイルを作製すること、(2)さらにそこにいたる発生段階の異なる胚においても当該プロファイルを作製し、空間的また時間軸に沿った発生プログラム解析を可能にすること、これらを目的に以下の検討を行った。 (1)目的とする細胞系譜の追跡を可能にするマーカー遺伝子の発現調節領域の解析を行った。脳内感覚器の2個の色素細胞のマーカーとして、メラニン形成の鍵酵素チロシナーゼは、初期神経胚期からのよいマーカーとなる。この遺伝子の転写調節領域の解析を行い、細胞種特異的にその発現をドライブできる5鋳イ節領域を明らかにできた。 (2)単一割球由来のライブラリー作成を行った。脳内の眼点また耳石の色素細胞については顕微鏡下で単離できるようになったので、それをもとにcDNAライブラリーを作成した。一部クローンについてはその塩基配列解析を行った。 細胞系譜マーカーは一種類だけでは充分ではないので、TRP(Tyrosinase-related protein)やMitf(Microphthalmia-associated transcription factor)、Pax6等をコードする遺伝子の単離と、その転写調節領域をレポーターにつないだ新たな細胞系譜追跡用のコンストラクトの作製が必須であることがわかった。単一割球由来のcDNAライブラリー作製は、色々な方法を試し、ようやく再現性よくできるようになった。現在用いている塩基配列解析用DNA調製法を改良し、より配列決定のパフォーマンスを上げることが重要であろう。
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