2000 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ脳の可塑的神経活動に伴って発現量が変化する遺伝子の系統的探索
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12202052
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
伊藤 啓 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (00311192)
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Keywords | キイロショウジョウバエ / ゲノムプロジェクト / 脳 / エンハンサートラップ / ESTクローン / in situハイブリダイゼーション / 神経伝達物質 / 共染色 |
Research Abstract |
ゲノムプロジェクトで同定された大量の遺伝子、とくに可塑的神経活動など脳細胞のうちの比較的少数のみが特異的に反応するような機能に関与する遺伝子の解析には、それらが脳のどこで、いつ、どれくらい発現しているかを知ることが重要になってくる。そこで本研究では、全ゲノムの配列解析が終了したばかりのキイロショウジョウバエを用いて、in situ RNAハイブリダイゼーション染色によって個々の細胞レベルで特定の遺伝子の発現を比較する技術を確立し、数百〜千の候補遺伝子について可塑的神経活動に関連した発現の変化を調べるスクリーニングについて、実現可能性の検証を行なった。細胞体しかラベルされないin situ染色では、その神経細胞が投射する領野や構成する回路に関する情報が得られない。そこで、NPコンソーシアムで作成した4500のGAL4エンハンサートラップ系統を用いて、種々の神経細胞をエンハンサー活性に従って特異的にラベルし、in situと二重染色して比較対照することで細胞を詳しく同定し、神経線維の投射形態を解析できると予想された。このような、多標本のin situ染色処理→GAL4系統との対照→細胞の同定、というアプローチを実用化し、大規模スクリーニングへのノウハウを得るために、まず、ショウジョウバエ脳の神経伝達物質とその受容体のマップ作業に着目した。これによっていくつかの伝達物質について、ゲノム情報を利用して伝達物質の産生や受容に関わる遺伝子のESTクローンからプローブを作成し、触角葉などいくつかの細胞種について、in situ染色とGAL4系統の共染色を成功させ、このアプローチの有用性を実証した。
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