2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12204012
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
市川 仁 国立がんセンター, 研究所・腫瘍発現解析プロジェクト, プロジェクトリーダー (30201924)
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Keywords | 遺伝子 / ゲノム / 発現制御 / 発生・分化 / マイクロアレイ / 急性骨髄性白血病 |
Research Abstract |
本研究は、骨髄系培養細胞の遺伝子発現をDNAチップを用いて解析することにより、そこに働く遺伝子発現制御ネットワークを解明し、急性骨髄性白血病等の疾患の遺伝子発現データを解析する基盤を構築することを目的としている。本年度は、G-CSF刺激による好中球分化過程の遺伝子発現制御ネットワークを解析した。まず、G-CSFにより成熟好中球へと分化するL-G、32D等の細胞株を用い、G-CSF添加後、0時間、3時間、6時間、9時間、12時間、1日、2日、3日、5日、7日、9日の遺伝子発現をDNAチツプを用いて測定して、この過程の遺伝子発現変化を網羅的に解析した。次に、L-G細胞に予め白血病キメラ転写因子AML1-MTG8またはFUS-ERGを発現させて、好中球分化を抑制した状態でG-CSF刺激を与え、この時に起きる遺伝子発現変化を解析した。さらに、骨髄系前駆細胞の好中球分化に関わることが知られている転写因子C/EBPαとPU.1をmethallothioneinプロモーターの制御下で誘導発現可能なL-G細胞を構築し、Zn^<2+>による発現誘導後、0時間、3時間、6時間、9時間、12時間、1日の遺伝子発現を測定して、C/EBPα、PU.1により制御される標的遺伝子を同定した。これらの結果から、好中球分化に伴う遺伝子発現変化の全体像が把握され、AML1-MTG8により抑制される分化経路とFUS-ERGにより抑制される分化経路は異なること等が明らかになった。また、以上の培養細胞を用いた解析に加え、急性骨髄性白血病患者試料のDNAチップを用いた遺伝子発現解析も行い、これまでに患者試料64検体の遺伝子発現を測定した。この発現データのクラスター解析から、急性骨髄性白血病の遺伝子発現パターンが、白血病細胞が有する染色体転座により強く規定されていることが明らかになった。
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