2000 Fiscal Year Annual Research Report
先天性鉄代謝病態にかかわる遺伝子多型の遺伝性ポルフィリン症発症への影響の解明
Project/Area Number |
12204013
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤田 博美 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60142931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 博久 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (20316631)
澤田 賢一 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (90226069)
竹谷 茂 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (20121949)
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Keywords | ポルフィリン症 / フリードライヒ失調症 / ヘモクロマトージス因子 / フラタキシン / 鉄動態 / ミトコンドリア / ヘム / 突然変異 |
Research Abstract |
本研究は鉄動態と深く関連する疾患を対象とし、鉄動態に関与すると考えられている蛋白質因子の日本人に特有の突然変異とその機能への影響と解明し、それらの因子の有する機能を病態生化学的意義を明らかにするために、(1)後天性皮膚ポルフィリン症において日本人に特異的な突然変異がヘモクロマトージス因子に存在するか、(2)フリードライヒ失調症において日本人に特異的な病因が存在するかについての解析を行っている。特に、突然変異の検出のみならずその病態細胞生物学的機能を明らかにしようとする所に特徴がある。 本年度は、(1)に関してはヘモクロマトージス因子遺伝子上に欧米人ではコモンな突然変異が存在しないことは既に明らかにしたので、日本人特異的な変異の検出のための解析を行っており、対象群22例中20例に共通するイントロンアクセプターサイトの変異が両方の遺伝子座に存在すること、一方の遺伝子座の変異については数例に共通するものがエクソン上で10例ほど検出されている。現在、これらの変異が患者に特有のものであるか否かの検討を開始しており、さらに特有のものであった場合、機能上どのような影響が存在するかについての解析の準備を進めている。(2)に関しては、わが国にはフリードライヒ症候群類似の症状を呈する患者が存在すること、しかし欧米で見つかっているフラタキシン遺伝子5'側フランキング領域の異常は見つかっていないこと、欧米、日本ともにフラタキシン遺伝子のコーディング領域の解析は行われていないこと、従って、コーディング領域に突然変異が存在する可能性があること、また哺乳類のフラタキシンの機能の解析が進んでいないので、患者から突然変異が見い出されれば同蛋白質の機能解析を進める上でも有意義であることが判った。そこで、同蛋白質の機能解析を行うための細胞系として鉄が重要な役割を有している赤血球を考え、機能解析の対照とするために正常赤血球の分化と鉄動態に関する解析をおこなっている。
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[Publications] 藤田博美,西谷千明: "ポルフィリン症"日本臨床. (印刷中). (2001)
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[Publications] 藤田博美,竹谷茂: "新ミトコンドリア学(井上正康編)"現在印刷中. 1000 (2001)