2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト22番染色体をモデルとするマクロ環境の遺伝子発現制御への関与
Project/Area Number |
12204046
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
丸山 和夫 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90165944)
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Keywords | 22番染色体 / 遺伝子発現 / マイクロアレイ / 染色体構造 / マクロ環境 |
Research Abstract |
プロモータなどの近傍の塩基配列だけで遺伝子の発現制御機構を解析しようとする従来の方法では、発現制御の全体像を把握することは困難であった。しかし、DNAマイクロアレイ技術の進歩によって数千の遺伝子の発現を一度に比較することが可能になり、さらに、21番・22番染色体の全塩基配列が明らかになったことで、初めて、遺伝子の発現制御を染色体というマクロな環境において解析することが可能となった。 本研究は、遺伝子の発現制御に関与する特異的塩基配列および同一染色体上の他の遺伝子・繰り返し配列・染色体の特異的構造などのマクロ環境が発現に与える影響を明らかし、複雑な遺伝子発現が関与する多因子疾患の病態解明を目的としている。そのモデルとして、最近全貌が明らかになったヒト21番・22番染色体を選んだ。 ヒト21番染色体から66遺伝子、22番染色体から86遺伝子、計152遺伝子を選んで、タンパク質をコードする領域の塩基配列をもとに、当該遺伝子に特異的かつS/N比の高いオリゴヌクレオチド(80塩基)を設計し、マイクロアレイを作製した。各種の細胞株あるいは薬剤処理前後の細胞から抽出したmRNAから標識cDNAを合成し、アレイ上でハイブリダイゼーションを行い、発現プロファイルを解析した。 「染色体上の位置:発現のプロファイル」という新しいクラスタリングにおいて、染色体の構造に変化を与えるどの因子が有意のクラスタリングを与えるかを検討することによって、発現制御の高次因子の探索が可能になる。今回マイクロアレイ化した遺伝子は予想されている遺伝子の約四分の一にすぎなかったが、細胞の様々な状態における遺伝子発現を染色体のレベルで俯瞰することができた。現在、全遺伝子のマイクロアレイ化を進めると共に、染色体構造と発現レベルの相関を表現する式を構築中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Emi Ito: "A core-promoter region functions bi-directionally for human opioid-receptor-like gene ORL1 and its 5'-adjacent gene GAIP."J.Mol.Biol.. 304. 259-270 (2000)
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[Publications] G-x.Xie: "An alternatively spliced transcript of the rat nociceptin receptor ORL1 gene encodes a truncated receptor."Mol.Brain Res.. 77. 1-9 (2000)
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[Publications] Yuka.Yanagisawa: "Methylation of the hMLH1 Promoter in Familial Gastric Cancer with Microsatellite Instability."Int.J.Cancer. 85. 50-53 (2000)