2002 Fiscal Year Annual Research Report
光合成微生物の光合成遺伝子タンパク質システムの解明
Project/Area Number |
12206002
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大森 正之 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (80013580)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 晃男 名古屋大学, 生物分子応答センター, 教授 (80087593)
池内 昌彦 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (20159601)
|
Keywords | Synechocystis / 環境応答 / 2成分制御系 / 転写因子 / シグマ因子 / Anabaena / マイクロアレイ / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
本年度は当初の目的に添って以下の2点を中心に研究を展開した。 1.Synechocystis(シネコキスティス)の機能解析 環境応答に関わる2成分制御系のセンサー、レギュレーター、セリン/トレオニンキナーゼ、転写因子、シグマ因子などについて遺伝子破壊株を作製し、表現形の解析、マイクロアレイ解析、ゲルモビリティシフト解析をおこなった。その結果、細胞の運動に関与する線毛の遺伝子群の同定に成功した。さらに、他のバクテリアのべん毛運動の調節因子に相同性を示す遺伝子から構成される遺伝子クラスターや、走光性に関わる光受容体とシグナル伝達因子をコードする遺伝子クラスターの存在も明らかにされた。光センサーと推定されるタンパク質の結晶解析も進められている。 2.Anabaena(アナベナ)の機能解析 既に作製されたアナベナDNAマイクロアレイを用いて環境ストレスに応答する遺伝子発現の制御について解析した。窒素飢餓条件では、窒素固定に関連する遺伝子の発現が見られ、それらの遺伝子は互いに染色体上で近接して存在していること(遺伝子アイランドの形成)が明らかとなった。さらにヘテロシストへと細胞を分化させる一連の遺伝子もこの条件下で発現した。乾燥ストレスに対しては、数多くの遺伝子の発現が調節され、このストレスが複合的な影響をラン藻の細胞に与えている事が示された。特にトレハロースの合成、分解に関わる酵素をコードする遺伝子の発現が乾燥初期に大幅に促進された。一方、光合成に関する遺伝子群の発現は抑制を受けた。窒素固定関係の遺伝子の発現は大きな変化を見せなかった。Anabaenaの光センサーとしては、遠赤色光の受容体としてAphCの同定に成功した。野生株は遠赤色光照射により細胞内cAMP濃度を上昇させるが、この遺伝子の破棄株ではcAMPレベルは変化しなかった。AphCは遠赤色光のシグナルをアデニル酸シクラーゼに伝達する事が示唆された。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Tada, T: "Molecular dissection of the hydrophobic segments H3 and H4 of the yeast Ca^<2+> channel component Mid1"J. Biol. Chem.. (in press). (2003)
-
[Publications] Nishimura, R: "HAR1 mediates systemic regulation of symbiotic organ development"Nature. 420. 426-429 (2002)
-
[Publications] Ohmori, M: "Regulation of cAMP-mediated Photosignaling by a Phytochrome in the Cyanobacterium Anabaena cylindrica"Photochemistry and Photobiology. 75. 675-679 (2002)
-
[Publications] Furumichi, M: "SYORF : Community annotation of cyanobacteria genes"Genome Informatics. 13. 402-403 (2002)
-
[Publications] Kashino, Y: "Low-molecular-mass polypeptide components of a photosystem II preparation from the thermophilic cyanobacterium Thermosynechococcus vulcanus"Plant Cell Physiol. 43. 1366-1373 (2002)
-
[Publications] Ohmori, K: "cAMP Stimulates Na+-dependent ATP Formation in the Alkalophylic Cyanobacterium Spirulina platensis"Microbes and Environments. 17. 144-147 (2002)