2000 Fiscal Year Annual Research Report
枯草菌内で複数のσ因子の活性を調節する蛋白質複合体の機能解析
Project/Area Number |
12206018
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中村 顕 筑波大学, 応用生物化学系, 助教授 (10207863)
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Keywords | 枯草菌 / σ因子 / 胞子形成 / ストレス応答 / タンパク質リン酸化 |
Research Abstract |
<背景と目的> :枯草菌内に8種あるRsbRパラログのうち、IspUとYojHの欠損がσ^H活性に負の影響を与えることを見出し、未解明のσ^H活性化機構への関与を示唆する結果を得た。また、細胞内でIspU、YojH、RsbRを含む複数の蛋白質が複合体を形成することを明らかにした。このことからRsbRパラログは複合体をなし、σ^Hとσ^Bを含む複数のσ因子の活性を調節する複合体を形成していると推察している。特にRsbRではT171、T205の2ヶ所でRsbTによるリン酸化を受け、σ^B活性化を抑制することが明らかとなっているので、パラログ複合体の活性そのものがリン酸化により制御されることが示唆される。 本研究では、上記のモデルを検証するため、パラログ複合体下流のσ^B因子とσ^H因子に対する活性調節機構が独立したものかどうか明らかにする。さらに8種のパラログが実際に複合体を形成しているのか、またパラログ間でクロストークが存在するのか検討する。次に、IspUとYojHについてリン酸化の有無とその影響について検討する。さらにYqhA、YtvA、YetI及びYezBにより制御されるσ因子の同定を試み、最後にパラログ複合体の下流に位置して各σ因子の活性調節に関わる蛋白質を同定する。 <検討結果及び考察> IspU、YojHではRsbRのリン酸化部位であるThr残基が保存されている。そこでRsbRのT205残基に対応するIspU、YojHのアミノ酸(共にT220)を、リン酸化状態をmimicする目的でAspに置換した変異株を作製し、σ^H依存のkinA-lacZ発現に与える影響を調べた。その結果、いずれの変異もkinA-lacZ発現を大きく上昇させ、特にIspU T220D変異では野生株の約4倍にまで上昇させることが明らかになった。これに対してRsbR T205D変異株を構築したところ、kinA-lacZ発現に対しては大きな影響を与えなかった。 以上のことより、IspUとYojHは実際にσ^H活性の調節に関わることが明らかになり、またRsbRはσ^H活性の調節には何ら影響を与えないことが示された。
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