2000 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌を外来遺伝子発現宿主とする膜蛋白質解析系の構築
Project/Area Number |
12206042
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
魚住 信之 名古屋大学, 生物分子応答研究センター, 助教授 (40223515)
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Keywords | Escherichia coli / K^+ / 膜蛋白質 / Arabidopsis thaliana / KUP / HKT / トポロジー / 糖鎖修飾 |
Research Abstract |
我々は既に大腸菌を用いた真核生物由来膜蛋白質の活性発現と構造決定が可能であることを示しており、本研究では構造と機能を解析することを目標に以下の課題を進めた。1 Arabidopsis由来のAtKUP1(KUP系)の輸送体トポロジーをアルカリフォスファターゼ遺伝子融合法で大腸菌発現系を用いて決定した。13ヶ所存在する疎水領域のうち7ヶ所は膜貫通構造を形成することが明らかとなった。高い疎水領域であるのにもかかわらず膜に貫通していない部分が存在した。この領域は一部が膜に埋まってイオン輸送孔を形成している可能性が推定された。2 我々は既に植物AtHKT1(HKT系)のトポロジーを大腸菌発現系を用いて決定している。この結果が真核細胞でも同様であるかを明らかにするために、FLAG抗体認識部位を5カ所、糖鎖修飾部位を7カ所創出した後、動物の発現系およびイヌの膵臓由来の膜小胞を用いて検討した。この結果、大腸菌で決定したトポロジーとすべての点で一致しAtHKT1は8回膜貫通構造を有すること証明した。この決定したAtHKT1の膜貫通構造は他のグループが報告している10回貫通構造とは異なる結果となった。我々の構造モデルは複数の方法で導き出したことから信憑性がより高いと考えている。3 AtHKT1はアフリカツメガエル卵母細胞では検出できないK^+輸送能が大腸菌発現系では観察される。この理由としてAtHKT1に存在する一カ所のN型糖鎖修飾が関係している可能性がある。糖鎖修飾機能をもつ真核細胞発現系とそれを持たない大腸菌発現の差異がイオン選択性に影響を与えている可能性を検討した。糖鎖非修飾に残基置換したAtHKT1変異蛋白質を卵母細胞で発現させてイオン電流を膜電位固定法で調べたところ糖鎖修飾はイオン透過性には関与しないことがわかった。大腸菌は酵母や動物細胞よりもサイズが小さいため、K^+の要求性が小さくてAtHKT1は大腸菌のK^+取込み活性欠損変異を相補できたと考えている。酵母や動物の膜蛋白質発現系を補う別の蛋白質解析系としても有効であることを示すことができた。
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Research Products
(2 results)