2000 Fiscal Year Annual Research Report
酵母におけるシグナル活性化因子遺伝子の網羅的破壊によるシグナルネットワークの解析
Project/Area Number |
12206057
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
宮本 昌明 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (70278604)
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Keywords | GEF / 遺伝子破壊 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
<背景と目的> 各生物のゲノムプロジェクトが進み、種々の解析が行われるにしたがって、シグナル伝達に関わる因子は構造上保存されているばかりでなく、制御の方法も共通の仕組みを使っていることがわかってきた。ヒトをはじめとする高等動物では構造上似かよった遺伝子が多く、産物がどのように機能分担して働き、下流因子にシグナルを伝えているのかを解析することは多くの困難を伴う。それに対して酵母はシグナル伝達の基本的な制御機構は保存されていながら遺伝子の数も少なく遺伝学的手法を用いた種々の解析が容易である。外界からのシグナルを細胞内に伝え始める因子としてguanine nucleotide exchange factor(GEF)に注目し、分裂酵母のGEF遺伝子を網羅的に破壊して解析を行うことによりGEFを介した細胞内のシグナルネットワークがどのように制御されているのかについて明らかにする。 <検討結果> DH/PHドメインはGEF活性を担う機能ドメインである。DH/PHドメインを指標に分裂酵母のゲノムデータベースの検索を行い、7つのGEFを同定した(SPAC1006.6,SPAC16E8.09,SPAC24H6.09,SPAC31A2.16,SPBC29A3.17,SPCC645.05C,SPCC645.07)。これらはGEF活性を担うドメインの他、ショウジョウバエや動物細胞でシグナル伝達に関わる因子と相同性をもつ領域を複数持っていた。これら7つの遺伝子の染色体遺伝子クローンおよびcDNAクローンを取得・単離した。染色体遺伝子クローンからは遺伝子破壊株を得るためのターゲッティングベクターを構築し、diploid株に導入して組換え体を得た。現在解析中ではあるが、そのうち1つの遺伝子破壊株(SPAC16E8.09)はhaploid化してviableであった。この株は栄養増殖にはほとんど影響はなかったものの細胞の形態が丸く(野性株では桿状)なっており接合能が著しく低下していた。
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