2000 Fiscal Year Annual Research Report
プロテインダイナミクスのプロテオーム解析に関する基礎的研究
Project/Area Number |
12206073
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
榊原 陽一 宮崎大学, 農学部, 助手 (90295197)
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Keywords | プロテオーム / 二次元電気泳動 / シグナル伝達 / マイクロドメイン / コレステロールラフツ / Tリンパ球 |
Research Abstract |
細胞のシグナル応答によって誘導されるタンパク質のダイナミックな挙動を個々のタンパク質に的を絞らず、プロテオーム解析により網羅的に解析できる分析方法の確立を目的とし、そのための細胞分画条件、二次元電気泳動による分離条件の検討を行う。哺乳動物の細胞膜には、コレステロールやスフィンゴ脂質に富んだ膜ドメイン(ラフツ)が存在する。近年、これらは細胞間情報伝達の場として重要な機能を持つことが明らかとなりつつある。細胞がシグナルを受け取ったときに多くのシグナル分子がこのラフツ画分に集積してくることが報告されている。そこでシグナル伝達系の網羅的解析を目的としてラフツ画分へ移行するタンパク質のダイナミックな挙動を解析した。 ラフツを反映していると考えられているDIG(Detergent Insoluble Glycolipid enriched membrane)のIPGストリップを用いた二次元電気泳動によるプロテオーム解析では約50のスポットが見られた、しかしながらMALDI-TOF/MSにより疎水性の強い膜タンパク質やシグナル分子は同定されなかった。16-BAC/SDS-PAGEによるプロテオーム解析の結果、DIG画分には約30のタンパク質のスポットが確認された。解析の結果、lckや三量体Gプロテインサブユニットなどが同定された。T細胞受容体を刺激し、その前後でDIG画分に移行するシグナル分子をウエスタンブロッティングにより解析した。その結果、SHP-1やZap-70が刺激後にラフツに移行してくることが判明した。 T細胞受容体を刺激し、その前後でラフツに移行するシグナル分子を網羅的に解析することでT細胞受容体のシグナル伝達系の全体像を明らかにできる可能性が示された。しかし、これらは発現量の少ないタンパク質が多く、今後の課題として、ラフツの大量調製法の開発、感度の高い分析法の必要性が考えられた。
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