2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12210002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
丹治 順 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10001885)
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Keywords | 高次運動野 / 運動前野 / 前頭前野 / 動作選択 / 動作目標 / アクションプラニング / 神経細胞 / 動作企画 |
Research Abstract |
本年は大脳皮質の連合野、高次運動野ならびに前頭前野の機能に関する研究果が得られ、国際学術誌・国際学会に発表するなど多くの研究発表を行うに至った。まず特筆されるのは頭頂連合野における数の概念形成に関する研究成果である。動作企画において、動作回数に基づく制御を霊長類に行わせ、その際の神経細胞の活動を記録解析した。その結果、動作回数の概念形成に相当する細胞活動を見出した。この発見はネーチャー誌に発表され、サイエンス誌に研究紹介が行われるに至った。動作選択を研究テーマの中心にすえ、選択を行うのに必要な情報の認知から動作の企画、さらには動作の準備から実行に至るまでの過程に背側運動前野(PM d)と腹側運動前野(PM v)がいかなる関与をするかについて研究を進めた。ニホンザルを訓練し、視覚情報を手がかりにして4種類の動作を選択する課題を行わせた。すなわち視覚信号の指示に従い、右または左手を用いて、右のターゲットまたは左のターゲットを捕捉する課題である。ターゲットの位置および使うべき手という二種類の情報を、時間的に二段階の視覚信号によって与え、行うべき動作の選択を企画させた。その課題遂行中に、大脳皮質の複数の領域から細胞活動を記録し、活動特性を比較検討した。指示信号に対する応答を解析したところ、PM vの多数の細胞においては、視覚信号がサルの眼前似設置されたスクリーンの右あるいは左に出現したという、空間的視覚情報を反映するものが多かった。PM dにおいては、指示信号に対する細胞応答の多くは単なる視覚応答ではなく、捕捉すべきターゲットがどちらか、あるいは使うべき手はどちら側かを反映していた。この知見はそれぞれの領域の機能差を明確に示すものである。他方、前頭前野においても、動作企画のための情報処理に関する興味深い知見が得られている。
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[Publications] Isoda M, Tanji J: "Cellular Activity in the Supplementary Eye Field During Sequential Performance of Multiple Saccades"J Neurophysiol. 88. 3541-3545 (2002)
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[Publications] Tanji J, Shima K, Matsuzaka Y: "Reward-Based Planning of Motor Selection in the Rostral Cingulate Motor Area"Adv Exp Med Biol. 508. 417-423 (2002)
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[Publications] Hoshi E, Tanji J: "Contrasting Neuronal Activity in the Dorsal and Ventral Premotor Areas During Preparation to Reach"J Neurophysiol. 87. 1123-1128 (2002)
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[Publications] Sawamura H, Sima K, Tanji J: "Numerical Representaion for Action in the Parietal Cortex of the Monkey"Nature. 415(6874). 918-922 (2002)
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[Publications] Fuji N, Mushiake H, Tanji J: "Distribution of Eye-and Arm-Movement-Related Neuronal Activity in the SEF and in the SMA and Pre-SMA of Monkeys"J Neurophysiol. 87. 2158-2166 (2002)