2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12210011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平野 丈夫 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50181178)
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Keywords | 小脳 / シプナス可塑性 / プルキンエ細胞 / 運動学習 / グルタミン酸 / GABA / リン酸化 / 脱リン酸化 |
Research Abstract |
小脳におけるシナプス可塑性は運動学習の基盤と考えられており、平行線維・プルキンエ細胞間のグルタミン酸作動性興奮性シナプスで起る長期抑圧、抑制性介在神経細胞・プルキンエ細胞間のGABA作動性シナプスで起る脱分極依存性増強等が知られている。本研究では、これらのシナプス可塑性の発現・維持・制御の分子機構を解明すること、これらのシナプス可塑性が生体内で果たす役割を明らかにすることをめざしている。これまでの研究で、GABA作動性シナプスにおける脱分極依存性増強の制御機構に関する研究が大いに進展した。平成12年度までに、(1)脱分極依存性増強が脱分極時にシナプス前神経細胞を活性化すると抑えられること、(2)脱分極時にシナプス前神経細胞からGABAが放出されるとそれがシナプス後プルキンエ細胞のGABA(B)受容体に作用することにより脱分極依存性増強が抑えられること、(3)GABA(B)受容体活性化によってアデニル酸シクラーゼ活性が低下して、Aキナーゼ活性が低下することにより脱分極依存性増強が抑えられること、を明らかにした。平成13年度は、Aキナーゼ活性低下がどのようなメカニズムで脱分極依存性増強を抑えるか検討した。脱分極依存性増強には、カルモジュリン依存性キナーゼ(CaMK)活性が必要であることが知られていた。CaMKは蛋白質脱リン酸化酵素の一つであるPP1により抑制されるが、本研究によりAキナーゼはDARPP32分子を介してPP1活性を調節していることがわかった。DARPP32はAキナーゼによってリン酸化されるとPP1を抑制する。Aキナーゼ活性が低下するとDARPP32がカルシニューリンにより脱リン酸化されるためにPP1が開放され、それがCaMKのはたらきを抑え、脱分極依存性増強が抑えられるのである。上記の研究の他、長期抑圧の発現・維持の分子機構の解析、長期抑圧を示さないミュータントマウスでの運動制御・運動学習についての解析が進行中であり、長期抑圧維持にカルシニューリンが関与することなども明らかになっている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yamasaki, T.: "Pax6 regulates granule cell polarization during parallel fiber formation in the developing cerebellum"Development. 128. 3133-3144 (2001)
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[Publications] Kawaguchi, S.: "Signaling cascade regulating long-term potentiation of GABA_A receptor responsiveness in cerebellar Purkinje neurons"Journal of Neurosience. (発表予定).
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[Publications] Hirano, T.: "Roles of Inhibitory Interneurons in the Carebellar Cortex"Annaks of New York Academy of Sciences. (発表予定).