2004 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロン・グリアの分化決定とニューロンの個性獲得にいたる制御機構の解析
Project/Area Number |
12210013
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岡野 栄之 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (60160694)
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Keywords | 神経幹細胞 / 自己複製 / Notchシグナル / アストロサイト / Musashi-1 / 翻訳制御 / eIF4G |
Research Abstract |
(1)Notchシグナルとその調節因子による神経幹細胞の分化制御: Notchシグナルはさまざまな動物種において発生過程において重要な働きをしていることが知られる。神経幹細胞の動態にもNotchシグナルが重要であるということはノックアウトマウスなどの解析からも分かりつつあるが、Notchシグナルによる神経幹細胞の時間空間的制御のメカニズムは明らかではない。我々は未だNotchシグナルの活性化部位の同定というのがなされておらず、内在性のNotchシグナルの活性化と細胞系譜の関係が明らかでないという点に着目し、Notchシグナルの活性化を可視化するために活性化したNotchを認識する抗体および蛍光タンパク質を利用したレポーター(Hes1 promoter-d4-Venus, TP1-d4-Venus)を用いて解析を行い、生体内においてNotchシグナルは、神経幹細胞の自己複製およびアストロサイトの初期分化と対応して活性化されていることを明らかとした。 (2)翻訳抑制型RNA結合蛋白質Musashi1の神経幹細胞制御における機能の解析: Musashi1による下流標的遺伝子の翻訳制御が、細胞内における翻訳機構のどの分子にどの様に作用しているかを明らかにする為に、細胞内においてMusashi1タンパク質が相互作用しているタンパク質の同定をおこなった。その結果、分子量約70kDaのPABP (poly (A) binding protein)が同定された。培養細胞において免疫沈降法を行った所、Musashi1との結合にはPABPのN末端側が、逆にMusashi1はC末端側がPABPとの結合に重要であることが分かった。PABPは、翻訳開始因子eIF4Gとの相互作用によるCap構造依存的な翻訳に重要な基本開始因子である事から、Musashi1の翻訳抑制に関係するタンパク質と示唆できる。そこで、Musashi1とこれら翻訳開始因子(PABP、eIF4GI)の関係について解析を行った所、Musashi1がPABPとeIF4GIの相互作用に対して競合的に作用することを示唆させる結果を得ている。
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Research Products
(9 results)