2003 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイドβ蛋白(Aβ)重合機構の解明:動物モデルにおけるSeed Aβの捕捉
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12210022
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Research Institution | National Institute for Longevity Sciences,NCGG |
Principal Investigator |
柳澤 勝彦 国立長寿医療センター, (研究所)・アルツハイマー病研究部, 部長 (10230260)
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドβ蛋白 / 老人斑 / GM1ガングリオシド / コレステロール / アポリポ蛋白E |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)発症の物質的基盤であるアミロイドβ蛋白(Aβ)重合体が形成される過程においては、可溶性Aβの重合を促進するseed分子が形成されるという仮説の基に研究を進めている。Seed分子として、本研究代表者が過去に報告したGM1ガングリオシド結合型Aβ(GAβ)に焦点をあて、本年度は抗GAβモノクローナル抗体(4396C)を用いてGAβに関する分子レベルでの解析を進めた。4396Cはliposome上で形成されたGAβを特異的に認識するとともにGAβによる可溶性Aβの重合を用量依存的に抑制した。対照として用いた抗Aβモノクローナル抗体(4G8、6E10)はGAβを認識することはなく、またGAβによる可溶性Aβの重合を抑制しなかった。以上の成績と昨年度に確認した細胞膜通過シグナル(TATペプチド)の有効性をもとに、4396Cならび対照抗Aβ抗体(3F1)をFab化し、さらにTATシグナルを付加した上で、APP遺伝子導入トランスジェニックマウスに週に一度、腹腔内投与(200μg/回)を5ヶ月間行なった。投与終了後、脳内におけるAβ蓄積量を評価した。その結果、脳内Aβ蓄積量は4396CFab-TAT投与群において有意に減少していた。一方、脳内の老人斑に関する形態学的観察の結果、4396CFab-TAT投与群ならびに3F1Fab-TAT投与群の両者において、一個当たりの老人斑の面積が有意に小さいことが確認された。3F1Fab-TAT投与群における生化学的評価と形態学的評価との間の不一致性の理由は不明であったが、4396CFab-TATA投与群における結果から、seed Aβが抗アミロイド治療の標的になりうることが示唆された。また、今回のトランスジェニックマウスにおける抗GAβ抗体によるAβ蓄積抑制効東の確認と、昨年度来行なってきた老齢サル脳における4396Cによる免疫生化学的ならびに免疫組織学的方法によるGAβ捕捉の成功は、GAβの脳内における形成ならびにそのAβ重合における役割に確かな支持を与えるものと考えられる。
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[Publications] Zou K, Yanagisawa K et al.: "Amyloid β-protein (Aβ)1-40 protects neurons from damage induced by Aβ1-42 in culture and in rat brain."J Neurochem. 87. 609-619 (2003)
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[Publications] Sai X, Yanagisawa K et al.: "The ubiquitin-like domain of Herp is involved in Herp degradation, but not necessary for its enhancement of amyloid β-protein generation"FEBS Lett. 553. 151-156 (2003)
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[Publications] Sawamura N, Yanagisawa K et al.: "Modulation of amyloid precursor protein cleavage by cellular sphingolipid."J Biol Chem. (in Press). (2004)
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[Publications] Yamamoto N, Yanagisawa K et al.: "Environment- and mutation-dependent aggregation behavior of Alzheimer amyloid β-protein."J Neurochem. (in Press). (2004)