2000 Fiscal Year Annual Research Report
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12210034
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
後藤 薫 山形大学, 医学部, 教授 (30234975)
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Keywords | 神経細胞 / 核 / 情報伝達系 / ジアシルグリセロール / ジアシルグリセロールキナーゼ / リン脂質代謝 / 二次メッセンジャー |
Research Abstract |
我々は、イノシトールリン脂質代謝により生じる二次メッセンジャー・ジアシルグリセロール(DG)の代謝酵素であるDGキナーゼ(DGK)について、核移行シグナルを持つIV型DGK(DGK-IV)アイソザイムの神経細胞における機能的役割を追求する目的で、その特異抗体を作製し神経細胞内での局在を検討した。 IV型DGKの免疫反応は、大脳皮質、海馬および小脳顆粒細胞では核内に優位な免疫反応が認められたが、小脳プルキンエ細胞では核内に加え、核周部および近位樹状突起にも免疫反応が検出された。神経細胞核内の免疫反応は、均一ではなく粗な顆粒状に検出され、核小体と思われる領域は陰性であった。また培養下の小脳顆粒細胞では、IV型DGKの免疫反応が核周部細胞質に優位に検出され、核内の反応は減弱した。以上より、IV型DGKは神経細胞において核-細胞質間を移行する可能性を持つことが示唆された。IV型DGKの核移行のメカニズムを検討するため、幾つかの変異型の遺伝子導入実験を行った。野生型は、脳内と同様に核内に局在するが、カルボキシル基端側に位置するアンキリンリピートを欠失する変異型は、核移行シグナルを含んでいるにも関わらず、細胞質に局在することが明らかとなった。この実験から、IV型DGKの核移行には、核移行シグナルのみならず、アンキリンリピートも関与すると考えられた。 さらに我々は、IV型DGKと同様に核移行シグナルとアンキリンリピートを持つ新しいアイソザイム、V型DGKをクローニングした。V型DGKは、1051個のアミノ酸からコードされており、分子量は116kDaと推定され、IV型DGKと58%の相同性を示していた。V型DGKも、核移行シグナルの存在からIV型と同様に核内に局在する可能性が強く示唆されており、神経細胞の核内ではこの両者が共に機能していると考えられる。
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[Publications] Shirai,Y.,Segawa,S.,Kuriyama,M.,Goto,K.,Sakai,N.& Saito,N.: "Subtype-specific translocation of diacylglycerol kinase alpha and gamma and its correlation with protein kinase C."J.Biol.Chem.. 275. 24760-24766 (2000)