2000 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病βアミロイド線維の試験管内形成及び分解機構の解明
Project/Area Number |
12210071
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Research Institution | 福井医科大学 |
Principal Investigator |
内木 宏延 福井医科大学, 医学部, 教授 (10227704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 一浩 福井医科大学, 医学部, 助手 (60324159)
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Keywords | アルツハイマー病 / βアミロイド線維 / 表面プラズモン共鳴法 / 重合核依存性重合モデル / 重合速度 / 脱重合速度 |
Research Abstract |
1.研究の目的。我々はこれまでに、アルツハイマー病βアミロイド線維(fAβ)の試験管内形成過程を、チオフラビンTを用いた分光蛍光定量法、及び閉鎖反応系を駆使して速度論的に解析して来た。その結果、Aβ蛋白からの線維形成過程が重合核依存性重合モデルで説明出来ることを明らかにした。このモデルは重合核形成過程、及び線維伸長過程より成るが、後者の過程は一次反応速度論形式に従う。これは、線維伸長が重合と脱重合の動的平衡過程であること、すなわちfAβの伸長・短縮が、Aβ蛋白の重合核あるいはfAβ断端へのstep by stepな重合、あるいはfAβ断端からのstep by stepな脱重合により起こることを示している。今回、より生体に近いモデルとして、系外からAβ蛋白が供給され続ける開放反応系を構築し、fAβの伸長、及び脱重合機構を解析した。 2.成果。表面プラズモン共鳴法(SPR)を用いた反応系を構築した。最初に、重合核となるfAβをセンサーチップ上に固定化した。次いで、リン酸緩衝液(pH7.5)に溶解した各種濃度のAβ蛋白溶液を連続的に添加し、37℃におけるfAβの伸長及び脱重合過程をリアルタイムで測定した。その結果fAβ伸長反応の初速度は、添加したAβ蛋白の濃度に比例した。これは、開放反応系においても、fAβ伸長過程が上記一次反応速度論形式に従うことを示している。さらに、Aβ蛋白を含まない緩衝液を添加すると、fAβが脱重合することを示した。次いで、重合速度と脱重合速度が均衡する濃度(臨界モノマー濃度)を直接測定したところ、約0.2μMであった。 3.結語。SPRを用いた開放反応系によってfAβの伸長、および脱重合機構を解析することができた。現在、アポE等の生体分子や種々の有機化合物が上記過程に及ぼす影響を検討している。
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[Publications] Yamaguchi I: "Extension of Aβ2M amyloid fibrils with recombinant human β2-microglobulin."Amyloid : Int J Exp Clin.Invest. (in press). (2001)
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[Publications] 内木宏延: "アミロイドーシス発症の分子機構"腎と骨代謝. 14・1. 7-13 (2001)
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[Publications] 長谷川一浩: "Alzheimer病βアミロイド線維形成の基礎"最新医学. 55・7. 1590-1595 (2000)
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[Publications] 橋本儀一: "実験的アミロイド線維伸長とAGE化β_2^<-m>"腎と骨代謝. 14・1. 31-36 (2001)