2000 Fiscal Year Annual Research Report
発達期大脳視覚野の機能再編における中枢アミン系の役割
Project/Area Number |
12210150
|
Research Institution | Osaka Bioscience Institute |
Principal Investigator |
今村 一之 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第3研究部, 研究副部長 (30203326)
|
Keywords | 発達 / 大脳皮質視覚野 / 水頭症 / 可塑性 / 冗長性 / 機能補償 / 方位選択性 / 受容野 |
Research Abstract |
発達初期のケオリンの大槽内注入によってネコの水頭症モデルを作製した。脳室の拡大、大脳皮質の薄層化は顕著であったが、脳室-腹腔内シャント手術を施行することによって、脳の解剖学的異常を維持した状態で、成獣まで維持することができた。光学計測法により、視覚野における方位選択性カラムを視覚化したところ、全体的なカラム形成パターンはほぼ正常に維持されていた。また、c-fos遺伝子のタンパク産物を指標にしたActivity-Mappingにより、これらの異常発達視覚野においても眼優位カラムが形成されていることが明らかになった。スライスを用いた実験から皮質II/III層の錘体細胞は白質の電気刺激に対して、正常なEPSP,活動電位を発生する事が明らかになった。スライス標本を用いた細胞内カルシウム濃度のイメージングにより、NMDAの灌流液内投与に対する反応が小さくなっているにもかかわらず、ノルアドレナリンに対する応答は、逆に有意に増大していることが証明された。HPLCを用いた解析により、この際、皮質組織内でのノルアドレナリン代謝レベルが亢進していることも明らかになった。 以上の結果は、発達期の大脳皮質の神経回路、特に機能カラム構造が如何に可塑的で、冗長性を有しているかを示しており、発達異常脳での機能維持に中枢ノルアドレナリン系が重要な働きをしていることが示唆された。 今後、同様のモデル動物を用いて、感受性期内の単眼遮蔽による可塑的変化が、ノルアドレナリン系を薬理操作した場合どのように修飾されるかについて、検討を続けていく予定である。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Kobayashi M.: "Selective suppression of horizontal propagation in rat visual cortex by norepinephrine."European Journal of Neuroscience. 12. 264-272 (2000)
-
[Publications] Yoshimura Y.: "Properties of horizontal and vertical inputs to pyramidal cells in the superficial layers of the cat visual cortex."Jouranl of Neuroscience. 20(5). 1931-1940 (2000)
-
[Publications] Komai S.: "Neuropsin regulates an early phase of schaffer-collateral long-term potentiation in the murine hippocampus."European Journal of Neuroscience. 12(4). 1479-1486 (2000)
-
[Publications] Nakadate K.: "Effects of monocular deprivation on the expression pattern of alpha-1 and beta-1 adrenergic receptors in the kitten visual cortex."Neuroscience Research. in press. (2001)