2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12212001
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
下遠野 邦忠 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (10000259)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / ウイルスポリメラーゼ / サイクロフィリン / HCVゲノムレプリコン複製 / インターフェロン |
Research Abstract |
C型肝炎ウイルスゲノムが自律複製する細胞を用いて、ウイルスタンパク質からの解析と自然免疫によるウイルス複製制御について解析をおこなった。HCV複製において中心的な役割を担うのがウイルスポリメラーゼである。本ポリメラーゼはウイルスRNAを鋳型として、プラス鎖からはマイナス鎖を、マイナス鎖からはプラス鎖を産生する。本研究ではマイナス鎖から産生されるプラス鎖の末端構造を解析した。その結果、5'末端に特別な修飾構造は存在せず、単にリン酸が付加した状態になっていると考えられる結果を得た。また、新たに合成されたゲノムの5'末端構造は塩基配列が冗長であった。ウイルスポリメラーゼを標的とした抗HCV剤の開発に有用な情報になると期待される。 ウイルスゲノム複製を制御する細胞側因子として自然免疫に働くTLR3からのシグナルが強く阻害的に働くこと、およびシャペロンタンパク質のひとつであるサイクロフィリンが促進的に働くことを見いだした。前者においては、二本鎖RNAによりプライムされるインターフェロンシグナルの初期過程を強くすることが人的に出来れば内在性のインターフェロン産生は促進されその結果HCVゲノム複製を抑制すると考えられる。従ってインターフェロン投与に加えて自然免疫を外因的に活性化すれば一層効率よくHCVゲノム複製を抑制出来ると考えられるので、今後の治療に明るい情報になる。また、後者については抗HCV剤開発に向けた標的が見いだされたばかりでなく、サイクロスポリンAを用いた治療に向けて新たな展開が期待される。
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