2004 Fiscal Year Annual Research Report
ジーンターゲティングによるがん関連遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
12213009
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野田 哲生 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10183550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 聡 秋田大学, 医学部, 教授 (10311565)
高野 洋志 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00241555)
柳沼 克幸 (財)癌研究会, 癌研究所・細胞生物部, 研究員 (40182307)
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Keywords | Patched / βカテニン / APC / PTEN |
Research Abstract |
本年度、我々はマウス個体を用いた発がん関連遺伝子の機能解析を行い、下記のような成果を得た。 (1)ヒト家族性大腺腫症のモデルであるApc変異マウスにおける消化管腺腫の発生を強力に抑制する新たな変異マウスApc580D-line19を樹立し、その遺伝学的な解析を行い、その原因遺伝子がa-catenin遺伝子であることを明らかにした。Apc580D-line19のa-catenin遺伝子には約4kbの欠失が起きており、その結果ヌル変異が導入されており、少数ながらもApc580D-line19に発生する消化管腺腫におけるLOH解析から、腺腫発生の初期過程においてa-cateninが重要な役割を果たしていることが明らかとなった。(2)Wnt受容体であるFrizzledの細胞質内ドメインに結合する分子を単離・同定することにより、Magi-3とFzip-3という、Wntシグナルに関与する二つの新たな分子の同定に成功した。その機能解析から、Magi-3はscafold蛋白として機能し、これもWntシグナルに関与する分子であるStbmとFrizzledを含む3量体を形成することで、Wntシグナルをポジティブに制御することが明らかとなった。もう一つの結合分子であるFzip-3に関しても、マウスの発生において必須の役割を果たしていること、そしてWntシグナルの下流で位置することが明らかになっている。特に、Fzip-3変異のホモ接合体は、Wntファミリーの変異体と類似の表現型を示す点は非常に興味深い。(3)肝細胞特異的PTEN欠損マウスを作製・解析することにより、肝細胞においてがん抑制遺伝子のPtenが、PPARgやSREBP1cの発現やインスリン感受性を抑制する機能を有していること、そしてPtenの不活化は、肝癌や非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の発症を引き起こすことことが明らかとなり、肝細胞におけるPIP-Akt経路の果たす役割が明らかとなった。
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