2000 Fiscal Year Annual Research Report
Fanconi貧血における染色体不安定性と高発癌の分子機構の解析
Project/Area Number |
12213034
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山下 孝之 東京大学, 医科学研究所, 客員助教授 (10166671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 茂隆 東京大学, 医科学研究所, 教授 (50134614)
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Keywords | ファンコニ貧血 / 染色体不安定性 / 骨髄異形成症候群 / 白血病 / 悪性腫瘍 |
Research Abstract |
Fanconi貧血(FA)は、(1)小児期に発症する骨髄機能不全と、骨髄異形成症候群(MDS)および急性骨髄性白血病(AML)の高率な続発、(2)固形腫瘍(特に口腔扁平上皮癌など)の高率の合併、(3)細胞の染色体不安定性、(4)mitomycin C(MMC)などへの高感受性を主な特徴とする常染色体劣性遺伝疾患である。遺伝的に異なる8群(A,B,C,D1,D2,E,F,G群)に分類され、このうち6遺伝子(FANCA,C,D2,E,F,G)がクローニングされた。これらの分子は、ゲノム安定性を維持する上に重要な分子経路で共同して作用することが明らかになってきた。私達は、Fanconi貧血(FA)の発症機構の解明と、その知見に基づく新しい診断法の開発、これを使用した患者病態の解析を目的として研究を行っている。発症機構の研究については、特にFA蛋白のひとつであるFANCAの機能解析のために、種々のconstructをFANCA(-)細胞に発現させ、機能との相関の解析を進めている。また、酵母twohybrid法と免疫沈降法でキナーゼやアダプター蛋白など、いくつかのシグナル伝達関連分子がFANCAと結合することを見出し、その機能的意義を解析中である。一方、診断法として、蛋白解析や、遺伝子導入による表現型補正を解析することにより、異常遺伝子を同定する方法を開発した。また、FA分子の生化学的変化の測定が新しい診断法になりうる可能性を示した。25例の患者検体でFANCA遺伝子の塩基配列を決定し、日本人に特徴的な変異を見出したが、変異の検出率は低いと考えられ、他の方法を組み合わせて遺伝子診断を行うことが必要と考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Futaki,M.,Yamashita,T. et al.: "The IVS4+4A to T mutation of the Fanconi anemia gene FANCA is not associated with a severe phenotype in Japanese patients."Blood. 95. 1493-1498 (2000)
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[Publications] Oda,T.,Yamashita,T. et al.: "A novel SH2 domain-containing protein, HSH2, may link tyrosine kinase signaling to CPC 42-regulated kinase Ack1 in hematopoietic cells"Blood. 96. 78a (2000)
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[Publications] Yamashita,T.,Nakahata,T.: "Current knowledge on the pathophysiology of Fanconi anemia : from genes to phenotypes"Int J.Hematol.. (印刷中). (2001)