2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12213043
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石川 冬木 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (30184493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 哲也 東北大学, 医学部・グノム生物学分野, 教授 (00107509)
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Keywords | テロメア / テロメラーゼ / 試験管内複製系 / ノックアウトマウス / TERT |
Research Abstract |
テロメラーゼ触媒サブユニットTERTのノックアウトマウスを作成した。第1世代のホモ欠失体は、期待通りにテロメラーゼ活性を持たなかったが、明らかな異常は認められなかった。このホモ欠失体同士を掛け合わせて、第2世代以降のホモ欠失体を作成すると、第5世代においてマウスは不妊となり、生殖細胞の著明な萎縮が見られた。また、体細胞においても、脱毛、白毛化、皮膚の萎縮など再生組織の増殖異常が観察された。テロメラーゼの発がん過程における意義を明らかにする目的で、発癌実験を開始した。実験結果の解釈を容易にするために、129株とB6株のキメラであるオリジナルなTERT+/-ヘテロマウスを野生型B6株と8回戻し交配させ、B6バックグラウンドのホモ、ヘテロ、野生型マウスを作成した。現在、これにX線照射を行い胸腺腫瘍を誘発する発癌実験を行っているところである。 テロメラーゼがDNA複製とのどのようにカップルして作用するかはいまだよく知られていない。このことを明らかにするために、先ず、線状SV40DNAをSV40T抗原と293細胞S100抽出液により試験管内で複製させる系を新たに開発した。従来、このin vitro複製系において線状DNAは効率よく複製されないと言われてきたが、我々は比較的多くのT抗原と少量のS100抽出液、DNAの存在下で線状DNAが有意に複製されることを発見した。1971-2年にJ.WatsonおよびA.M.Olovnikovにより、DNA複製ラギング鎖合成では、線状DNA末端が完全には複製されないことが提唱されている。この末端複製問題は、細胞増殖にわたるテロメア長の短小化を説明するものとして広く受け入れられているが、 現在までのところこの仮説を観察結果として直接的に証明した報告はない。今回、開発した試験管内線状DNA複製系を用いて末端部分の複製を詳細に観察したところ、一回のラギング鎖合成によって平均250塩基長のDNAが複製されずに失われ、その結果3ユ突出一本鎖DNAが形成されることが明らかになった。一方、リーディング鎖合成では、末端は完全に複製されていた。これにより、はじめて末端複製問題が証明された。現在、この系に、リコンビナントテロメアDNA結合蛋白質やテロメラーゼを加え、テロメア特異的なDNA複製・合成機構について解析を加えている。
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[Publications] Ishikawa,F.: "Aging clock, the watchmaker's masterpiece."Cell.Mol.Life Sci.. 57. 698-704 (2000)
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[Publications] Tatematsu,K.: "MBD2-MBD3 complex binds to hemi-methylated DNA and forms a complex containing DNMT1 at the replication foci in late S phase."Genes to Cells. 5. 677-688 (2000)
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[Publications] Kawakami,Y.: "Immuno-histochemical detection of human telomerase reverse transcriptase in human liver"Oncogen. 19. 3888-3893 (2000)
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[Publications] Yamaguchi,T.: "Recognition of 2'-deoxy-L-ribonucleoside 5'-triphosphates by human telomerase."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 279. 475-481 (2000)
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[Publications] Takahashi,Y.: "Aging mechanisms."Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 97. 12407-12408 (2000)
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[Publications] Hoque,T.: "Human chromatid cohesin component hRad21 is phosphorylated in M phase and associated with metaphase centromeres."J.Biol.Chem.. 276. 5059-5067 (2001)