2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12213057
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松岡 雅雄 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (10244138)
|
Keywords | 成人T細胞白血病 / DNAメチル化 / 発がん / HTLV-I / レトロウイルス |
Research Abstract |
1)HTLV-Iプロウイルスの組み込み部位をATL59症例、キャリア16症例においてinverse PCRを用いでATL細胞では59、キャリアでは56の組み込み部位を同定した。その結果、キャリアの26.8%(15例/56例)、ATL細胞の33.9%(20例/59例)においてプロウイルスは転写単位内に組み込まれており、これはコンピュータによるシミュレーションの結果(33.2%)と統計学的に有意差を認めなかった。ATL細胞においては、プロウイルスが転写開始点の近傍に組み込まれている例が15.3%(9例/59例、p=0.004)と有意に多く、転写単位内に組み込まれている場合、その70.0%(14例/20例)の症例では宿主遺伝子の転写方向と同方向にプロウイルスが組み込まれていた。またキャリア由来の細胞では20%(11例/56例)の頻度でアルフォイドDNAへの組み込みが証明され、ATL細胞の3.4%(2例/59例)に比較し有意に高値であることが判明した。 2)プロテアソーム阻害剤Bortezomibに対するATL細胞の薬剤感受性を検討した結果、HTLV-I感染細胞株では、他のT細胞株に比べ感受性が高いことが明らかとなった。NF-κB活性化の解析からbortezomib感受性とNF-κBの活性には正の相関関係が認められNF-κBを抑制することによりHTLV-I感染細胞株の増殖抑制効果を示すと考えられた。Bortezomib処理により薬剤処理24時間後にアポトーシスを認めた。カスペースの阻害剤zVADを加えることによってアポトーシスは阻害されたものの、細胞死は阻害されなかった。ATL細胞株の形態学的な変化を電子顕微鏡で観察したところnecrosis様の変化を認めた。in vivoでのBortezomibの効果を判定するために免疫不全マウスを用い解析を行いATL細胞に対する抗腫瘍効果を確認した。
|